ぼろいギターが部屋の隅でホコリにまみれていた。
ホコリをふき取った。弦は10年くらい代えてない。
ちょっとだけぼろんと鳴らしてみた。音程が合わない。合わせても合わない。
指も開かないし、太く固くなった。
楽譜を引っ張り出した。
かつて暗譜した曲を思い出そうとしても、全然出てこないから楽譜を見たくなった。
まず、ダウランドのファンタジー。3弦開放ソをファ#に合わせるリュート調弦。いきなり弾きだすにはハードな曲だった。
同じダウランドの「来たれ深き眠り」。旋律(歌)と伴奏の楽譜だが、凝り性の私はすぐにそれを一緒に弾こうとムリをする。
次にタレガの「アルハンブラの思い出」や「アデリータ」「マリア」。ギタリストの作曲であるだけに、運指が非常に合理的で鳴らしやすい。きちんとした姿勢でないと、特にハイポジションでムリが来る。だらしない格好で弾いているから、すぐにダウン。
ババッと本をひっくり返して、とうとうバッハに。
フーガBWV1000のリュート版からの編曲。あきまへんな。
次にリュート組曲第1番のジーグ。つっかえながら音をたどっただけ。
自分で編曲したチェロ組曲第3番の手書き楽譜を見ながら弾いたり。
チェロ組曲第3番は原曲ハ長調だが、ギターの響きの良さからイ長調に編曲されているのが一般的。私はそれをト長調にしてみた。バスギターという低音用のギターで弾くと、指使いはト長調だが音はハ長調ということになり原曲通りになる。まあ、バスギターを弾くことももうないけど。編曲そのものはお気に入りだったが、今回何ページか紛失していた。
そしてシャコンヌ。
かつて暗譜したのはバイオリンから比較的忠実にギターに落としこんだ楽譜だった。よく弾かれるのは音をたくさん追加したセゴビア版。以前はセゴビア版で覚えなおそうと思ったが、難易度は当然上がる。
けど、ギターを弾かなくなったので、どうでもよくなっていた。
従来覚えた楽譜を再度たどってみたら、やはり身体になじんでくる。一度覚えたものはしっくり来るもんだなと感心。
弾いてみたものの、またのめりこむかといえばそうではない。ギターはぼろいが買い替えの予定はない。昔使った楽譜を見て懐かしくはなった。演奏で気をつけることを、ものすごく書き込んであったり、ページがちぎれてなくなっていたり、ページをめくるところにクセがついていたり。
でも、かなり黄ばんできた。そろそろ処分かな。

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