芸術と自然はひそかに協力して人間を健全にする
まずは私が「世田谷美術館好き」という話から始めたい。
さほど熱心にあちこちの美術館へ足を運ぶタイプではないと思うが、ココへ来ると安心感がある。
「ああ、まだ日本は大丈夫だ」という安心感だ。
時に期待し、時に暇つぶしに、美術館へ訪れる私だが、作品に感動する事はあっても、それだけで終わる事がほとんどだ。
では、世田谷美術館は違うのか?といえば、そうなのだ。ハッキリ言う。
まず、環境。
行ったことのある方ならすぐ判るであろう、アクセスの悪さ。23区内にあるというのにどの駅からも徒歩15分以上かかり、車道からは建物の位置すら分からない。入り口に迷う。
次に建築。
砧公園の中に埋もれるようにしてようやく現れるその姿は、モダンなデザインなのであるけれど、表面のザラつき感、自然との融合。
中へ入ると一部の展示室の床が!床のデザインが!目の錯覚を生み出し、展示物をより大きく、脅威の姿に見せる(今回約7mの説教壇が展示、以前は壁画が置いてあったのを思い出した)。
そして精神。
世田谷美術館HPの一番上に、一番最初に出てくる言葉がコレだ。私もレポートの一番最初に書かせてもらった。
「芸術と自然はひそかに協力して人間を健全にする」
この言葉はまさに私の気持ちを代弁してもらった気分だ。この言葉が語られている間、私は安心出来るのだ。
さて、今回の展示に関してのレポートを始めようと思う(ずいぶん美術館について語ってしまった/汗)。

「宮殿とモスクの至宝ーイスラム美術展ー」
ヨーロッパやアジアの美術に触れる機会は多いが、イスラム圏は圧倒的に少ない。古くは宗教は美術と密着していて、文化も宗教ありきで発展してきた。私は「異なるものが交わる瞬間のエネルギー」にとても期待しており、自分の知らない文化を知る事は非常に勉強になると思っている。
あまり関係ないのかもしれないが、異なる人種の子供(ハーフ)は得てして美しい。
最初に雑誌でこの展示会を知り、載っていたタイル画の色の鮮やかさに期待した。そして会場が世田谷美術館だと知り、私の重い腰は上がったのだ。
実際に作品を見ると、装飾美術の極み。美しくなくてはならないように創られていて、繊細で、光さえも味方に付けている。
全くの左右対称、きめ細かく彫られた模様は、文字の刻まれている部分と時が経ったために歪められた傷等以外、完全な姿だ。
材質は陶器、タイル、ガラス、金属…どれも光を取り込み、反射し、輝く。
まるで万華鏡だ。
数多くの作品を30分程度で見てしまい(私の悪い癖)、美術館を出た時の印象は…
魔法にかけられた気分。
読み方の分からない文字はまるで呪文のようであり
透けて見える壺のようなランプは魔人が入っているようであり
万華鏡のような模様に上下左右を見失い。
帰り道は空飛ぶ絨毯に乗りたいトコロだ。
追記:会場でのミニイベントとしてアラブ古典音楽コンサートやトルコのピアノ音楽、イスラムデザインのオーナメント作りなど開催されており、日にちの合う方には是非体験していただきたい!
「宮殿とモスクの至宝ーイスラム美術展ー」
2005.10.1〜12.4
世田谷美術館

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