2012/2/10
ポストよしながふみはといえば
さしあたって
『失恋ショコラティエ』の水城せとなとか
『BUTTER!』のヤマシタトモコ
『うどんの女』のえすとえむがあげられるんだろう。
とはいえ、
水城せとなが一般誌に
進出したのはBLとほぼ同時期だったから
やっぱり、ヤマシタトモコのリードは
変わらないんだろうな
ただ,一般誌に描きながらも
どの作家もBLを書き続けている、というのが
最近の特徴で
もしかしたら、一般誌だから「あがり」とか
ではなく
ただ,発表する場所が広がっただけに
すぎないのかもしれない。
そこで、最近気になっているのが
『王子と小鳥」という
日本の高校生と中東の王子との恋を
描いた作品で注目された
山中ヒコ
この人の作品はいつも体温が低い。
登場人物は不器用だし
家が裕福じゃなかったり
両親が健在じゃなかったり。
まるで大昔の少女マンガのような
運命を背負って生きている。
そして、恋する相手に対してだったり
自身の生き方に対しては
その境遇に反発するかのように
ストレートだったりする。
晴れ渡るような,という感じではないけど
しっかりと、そこだけは
地に脚がついている、というような。
そこで,今回の
『王子様と灰色の日々』
掲載誌は『ARIA』という少女マンガ誌。
設定は
父親の借金のカタに売り飛ばされそうな
女子高生が
ふとしたことで出会った富豪の息子と
瓜二つだったことから
後継者決定を目前に疾走した
その息子の身代わりになるというもの。
文にすると
ものすごく時代錯誤な感じなんだけど
このひとの硬質で清潔な絵で
描かれると逆にモダンにさえ見えてくる。
ここで,この作品が新鮮なのは
主人公が女の子になったというだけで
他は今までのままの山中ヒコ、というところ。
疾走した富豪の息子は
密かに女装の趣味があるし
主人公の女の子が心を寄せる
息子の友人は
密かに息子に恋をしている。
何よりも身代わりになった女の子は
髪を短く切って
見た目も男の子そのものなのだから。
こうなると
だれかをすきになる、ということは
ほんとうにボーダーレスなことなんだな、
という気がしてくるから不思議だ。
男だから女だから
スカートを、ワンピースを着ているから
スーツを着ているから
オレというから
わたし、というから
そういうことのもっと前に
その感情は
ことばはあるのかもしれない。
少女マンガでありながら
年頃の男性と女性の恋愛を前提とした
そういうお約束ではない
ひととひとの物語を
山中ヒコは描こうとしているのかもしれない。
そして、だからこそ
この人の作品は
いつもたまらなくせつないのだろう。

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