2016/12/21

ありがとうございました!  

誕生祭が始まってから、丁度一週間!アキラ、まだまだおめでとう〜(笑)
お祭り会場からお越し下さった方も、拙サイトからの方も、ありがとうございますv
投稿作品と会場へ戻るバナーなどは、↓の記事にありますので、どうぞ〜

そして拍手メッセのお返事、畳みますね。ありがとうございます、とっても嬉しかったです(^^)
・・・の前に、うちのお誕生日部屋恒例(笑)乾杯グラスの写真も。

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2016/12/14

アキラさん、お誕生日おめでとう!!!  

アキラさん、30歳のお誕生日おめでとう!!

塔矢アキラ誕生祭15会場からお越しの皆様、いらっしゃいませ〜&ありがとうございます〜
今年も皆様と一緒にお祝い出来て、とても嬉しいです。
投稿作品はひとつ前↓の記事にありますので、がっつりデキてるヒカアキで宜しければどうぞ。
作品の中には15という数字を入れていますが、これは主催様へのささやか〜な感謝の気持ちです。もう15回も主催して下さっていることに、心からの感謝とねぎらいを!本当にありがとうございます(^^)
会場へは↓のバナーから戻れます。



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2016/12/14

塔矢アキラ誕生祭15投稿作品♪  




『誓い』





「あー、今日はほんとにほんとにご免なー!アキラー」

電話の向こうから聞こえて来るヒカルの声は、心底申し訳なさそうだ。

「そんなに謝らなくていい。何度も言ったじゃないか。この年で誕生日なんて・・・」
「だけど!今年は30歳の大台じゃん!いつもよりも、うーーーんと派手に祝おうと思ってたのに・・・俺の誕生日ん時もお前、色々してくれたじゃん?」
「それは、まあ・・・」

12月14日はアキラの誕生日だ。
しかしヒカルは丸一日仕事で、どうしても昼間から夕方の時間をあけられなかった。
そして今―――ヒカルはやっとタクシーに飛び乗ったところで、日付が変わるまでに間に合うかどうかの瀬戸際という、危機的状況である。

「サプライズパーティで色んなヤツ呼んでやりたいとか、どっか綺麗な夜景に連れて行きたいとか・・・あと、お前が想像もしないようなプレゼント用意するとかさ、30歳の記念になるようなこと、してやりたいって・・・お、俺なりに野望はあったんだぜ?でも、っ・・・」
「はいはい、わかってるからもう黙れ」
「そんなぁ・・・愛想つかしてねー?アキラ」
「あのさ・・・ヒカル。君がどれだけ忙しくて、大変な時期だったかってことを一番知っているのは、この僕だぞ?」
「・・・あ、うん・・・」

アキラの言う通り、ヒカルはタイトル防衛戦だの、海外の棋戦への参加だの、その上、親戚の冠婚葬祭などなど、多忙を極めていた。体調を崩して、珍しく寝込んだりもした。
そういう数か月を知っているだけに、アキラ本人は今日という日に全くこだわってはいない。
・・・いや、自分の誕生日そのものに、こだわってはいないのだ。
そしてヒカルも、そういうアキラの性分を十分理解した上で、それでも今日という日をもっと盛大に祝いたかったと、そう泣き言を言っているのだ。

「ヒカル・・・今の僕がさ、どんなに幸せかわかるか?こんなにも自分の誕生日を祝ってくれる人がいるなんて。大体、好きな人が毎年誕生日を覚えてくれていて、おめでとうって言ってくれる・・・それだけでも奇跡みたいに幸せだ。しかも今年で15回目だぞ。もう、人生の半分くらいは、君に祝ってもらってるんだ!」
「アキラ・・・・・・・・・それ、俺が9月の自分の誕生日ん時に、お前に言った話・・・」
「あはははっ・・・ちゃんと覚えていたか、自分の言ったこと!凄いな、君!」
「しかもそれ、かなり酔っぱらって・・・恥ずかしいこと言っちまったって、後から爆死してた・・・う〜う〜・・・」

電話の向こう、ヒカルが頭を抱えている様子が見えるようで、アキラは苦笑する。

「おい、アキラ。茶化すなよ〜、もう〜」
「いや、だからね、そのくらい、君の30歳の誕生日に言われた言葉が嬉しくて・・・そして僕も全くその通りだと思ったんだ。16歳の誕生日から、毎年僕らは傍にいたんだなって・・・」

アキラは本当に思っている―――ヒカルがくれた言葉は、そのまま自分の想いと重なると。
こんな奇跡みたいなこと、他にない。
好きな人と毎年誕生日を祝い合うことが出来るなんて、それが奇跡に近い幸せでなくてなんだというのだ?

「ああ、でもっ!やっぱり14日中にお前に会いたい!昨日が地方でないなら、日付が変わったうちに会えたのに・・・」
「そこまで言うなら、君、途中の〇〇交差点くらいで降りて、僕を待たないか?こっちはそこまで車で行くから。二人で移動すれば、その真ん中で会える。そしたら何とか間に合うんじゃないか?」
「えっ・・・運転って、お前、飲んでないの?」
「そうだよ、君を待っていたんだ」
「わあああああぁ・・・マジかよ、嬉しい・・・こんなの、嬉し過ぎるだろーーー」

ジタバタしちゃうと言いながら、本当にタクシーの座席で暴れているだろうヒカルを思うと、アキラは微笑ましくてならない。
さっきから、顔が緩んでばかりだ。

「じゃあ、すぐに出るよ。多分、20分くらいで着く。こっちが君を待たせるかもしれないが」
「大丈夫大丈夫!それならギリギリ14日だな!」

嬉々としたヒカルの声が胸をいっぱいにするから、アキラは車のキーを掴むのももどかしげに、家を飛び出していた。





やっと会えた二人はすぐにはアキラの家に向かわず、そのまま近くの公園脇に車を停めた。
空気が冷たく、月も星も美しい夜だ。

「真ん丸な月が綺麗だなぁ・・・」
「満月だったのは偶然だけど、いいものだな」
「なあ、プレゼントは何がいい?」
「そうだなぁ・・・あそこのコンビニの肉まんでもおでんでも・・・あ、ドーナツも美味しいよね」
「・・・おい、ふざけんなって。俺、真面目なんだぞ。そりゃ、遅れた俺が悪いけどさ・・・」
「じゃあ、真面目に言う」
「うん」
「ヒカル」
「はいっ・・・」
「元気でいてくれるか、これからもずっと」
「・・・え」
「君がこの前、体調を崩した時、僕は自分が思ったよりも動揺してしまったことに驚いたんだ。それだけ、君が大切なんだと改めて思い知った」
「アキラ、ちょっと待って・・・そういうのプレゼントっていうんじゃ・・・」
「いや、僕が今、一番欲しいものだというなら、君が健康でいてくれることだ。いいか、進藤ヒカル。君はこれからも健康で、そしていつまでも僕と打つんだ―――」

―――僕が約束を欲しいというのだから、くれるのだろう?

ヒカルが何とも言えない・・・そう、泣き笑いの寸前みたいな顏で自分を見詰めて来る。
その瞳が次第に潤んで来るのを見ているだけで、アキラの目元にも熱が集まる。

「ヒカル。あと1分で誕生日の14日が終わる。さあ、約束をくれるのか、くれないのか」
「うっ・・・わかったよ!とりあえず、誕生日中に誓えばいいんだろ!でも待ってろよ、プレゼントは他にもちゃんとちゃんと用意するから!お前をびっくりさせて、喜ばせてやるから!」
「はいはい、そっちも楽しみにしてるから。・・・ほら、カウントダウン始めるぞ?」

慌てて時計を見ると、ヒカルはガバッとアキラを抱き締めて来た。思いっきり強く、強く・・・

「一生、元気でお前の傍にいる・・・だからお前も、ずっと元気でいろ・・・ハゲと白髪のジイチャン同士になるまで・・・ずっと・・・いいか?俺も誓うから」

誕生日、おめでとう・・・アキラ・・・

言葉に込められた誓いの尊さと重さに、アキラもまた「最高の30歳初日をありがとう」と囁いては、ありったけの力でヒカルを抱き締め返したのだった。





(了)
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2016/12/12

12月14日  

・・・のうちには、2016年度塔矢アキラ誕生祭15への参加作品をアップします。
それまでお待ちください(^^)

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2016/10/10

拍手メッセージ、ありがとうございます!  

↓の進藤ヒカル誕生祭の投稿作品に対して、メッセージをありがとうございます。とても嬉しいです。
お返事を畳みますので、宜しくお願いしますv

ヒカルの誕生日からもう三週間ほど・・・早い;
主催様や参加者様への感謝と、そして皆様をお祝い出来る幸せを噛み締めて(^^)
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2016/9/24

ヒカルお誕生日おめでとう〜  

お祭り会場、もしくはサイトブログからお越しの皆様、今年もご一緒にヒカルの30歳の誕生日をお祝い出来て嬉しいです。ありがとうございますv

投稿作品は↓の記事にあります。お祭り会場へのリンクも。
今日はうちんとこの定番、乾杯グラスの写真をアップ〜(^^)実際は今年の春ごろに撮った写真ですが(笑)

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サイトブログへは、こちらから。http://orange.ap.teacup.com/applet/yukarin/archive?ap_protect=pe3rtjlds3e
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2016/9/20

ヒカル、おめでとう!  

ヒカル、お誕生日おめでとう!


いよいよ30歳になるのかな?
アキラと切磋琢磨して、それぞれタイトルホルダーになっているでしょうね。

そして今年も「進藤ヒカル誕生祭12」の開催、誠におめでとうございます!&ありがとうございます!
お祭り会場へは↓のアドレスからどうぞ(またバナーが貼れなくてすみません;)

http://takumi.o.oo7.jp/ring/hikarufesta.html

投稿作品は、ひとつ前の記事にあります。
参考にさせてもらった・・・というか、萌えエネルギーをもらったのは写真の雑誌です。
管理人は今、2.5次元舞台にドハマリしておりまして、押しの役者さんが載ってるとフラフラとこのような本を手にするようになりました(笑)
この雑誌は一冊丸々、全員浴衣というものです。・・・ということで、一体何を参考にさせてもらったかバレバレですが、↓のハピバ小説も読んでいただけたら嬉しいです。

今年もこのように、皆様と一緒にヒカルの誕生日を祝えることに心からの感謝を。

※ちょっとお友達から指摘を受けたので追記※
このおはなしのヒカアキは30歳ではありません。時間軸が違います。
「花守の庭にて」というオフ本にもまとめた、ヒカルとアキラが塔矢家の庭を愛でているシリーズの二人で、この時はまだ20歳前後かな。初々しい二人です。
説明不足で申し訳ありません!





画像はちょっと下げます(笑)





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2016/9/20

進藤ヒカル誕生祭12・投稿作品  

   『贈り物』





その日、進藤ヒカルは両腕いっぱいのススキを抱えて我が家へやって来た。

「どうしたんだ、それ・・・」
「花屋の前を通りかかったら売っててさ。そういや、お前んちの庭には何でもあるけど、これだけは見たことなかったなって」
「確かにうちにはないが・・・」
「邪魔だった?」
「いや、とんでもない!有難いよ、花は飾ってみたけどススキはなかったから。それがあると、断然お月見気分が盛り上がるな」
「じゃあ、何でそんなに驚いてんのよ?」
「だって君なら団子の方を買ってくるかと」

正直に答えたら、進藤はニヤッと笑って背中のリュックを軽く揺さぶってみせた。

「あ、それもある。そっちもぬかりはねーよ」
「あはは・・・そうか、それは良かった!さっそくススキを飾らせてもらうよ、それから食事にしよう」
「やっり〜」

ヒョコヒョコと、嬉しそうに体を揺らしながら彼が上がって来る―――いつものように縁側から。
すっかりここが進藤の出入り口になってしまったなあ・・・と、苦笑を禁じ得ないが、それを諌めるつもりも僕にはない。
むしろ、我が家の庭を背景に現われる彼の姿が、僕の中に温かい何かを運んでくれる。・・・いっぱいに、満たしてくれる。
だから今ではもう、僕にとってこの庭と進藤ヒカルは切っても切り離せない、大切なひと繋がりになっていた。





「あー、食った食った!美味かったー、満腹ー」

食べ終わると、進藤は丁寧に手を合わせた。

「それは良かった」
「・・・で?」
「でって・・・・・・・・・は?」
「なんかお前、今日は最初っからソワソワしてるっぽいから」

言いたいことでもあるのかって思ってさ、と。彼の大きな目でじっ・・・と見詰められた。

(なんだ・・・やっぱりバレてた)

図星をさされ、思わず目が泳いでしまった。

「だーって、お前が皿を割りそうになったのなんか見たことねーもん。それも二回も」
「そうか」
「ソースくれって言ったのに、醤油出して来たし」
「あれは悪かった」
「テンの尻尾まで踏みそうになってた。あれからテン、どっか行って戻って来ねーし」
「テンも何か察したのかもしれないな・・・」
「じゃあ、その何かを教えてよ」

塔矢・・・と、進藤が距離を近付けて来る。そうだ、別に緊張するほどのことでもないのだから、さっさと言ってしまおう。そうしよう。

「進藤」
「ん」
「その・・・ちょっと早いんだけど、二十日は仕事で会えないし、早い方がいいかと思って・・・いや、実際は季節外れだってわかってるんだ、だから来年でも良いかと思ったんだが・・・」
「がーっ!おい、塔矢!お前、どうしちゃったの!歯切れがわりーぞ!」

進藤が呆れたように、額に手を置いたまま天を仰いだ。

「・・・ああ、でもわかった。わかっちゃった。お前が・・・塔矢アキラがそんなにモダモダするのは、碁のこっちゃねーな。碁に関することなら、お前はもっとスパッ!と切り出してる」
「凄いな、君は・・・どうしてわかるんだ、そんなことまで」
「あのなー、一体何年の付き合いになると思ってんのー?」

今度は肩をポン・・・と叩かれた。それは彼の優しさを伝え、僕を安心させてくれる。
その優しさに勇気を得て、漸く切り出した。

「今度の二十日は君の誕生日だろう」
「うん」
「それで・・・君の誕生日に贈りたいものがあるんだ」
「へ?」
「こっちへ来てくれ」

進藤を促して、隣の座敷へと向かう。
彼が中に入ると、僕はさっさとふすまを閉めた。灯りをつける。

「あ?これ・・・」

明るくなった部屋の真ん中で進藤が見ているものは、衣紋掛けにかかった浴衣だった。
青い色の地に、もっと濃い藍色でトンボの柄が描かれた浴衣だ。

「浴衣・・・浴衣だよな?」
「うん、君に着てもらえないかと思って」
「俺!?俺が着るの!?」
「ちょっと早いが・・・誕生日、おめでとう」
「それってさ、俺の誕生日プレゼントにお前がこの浴衣を選んでくれて、そんで着てみないかって・・・そゆこと?それも今、着ていいんだな?」

黙って頷いた。口を開けば、照れ隠しで逆にエラそうにしてしまいそうだから。

―――だから慣れないことはするもんじゃない。
今まで、一緒に食事したり打ったりすることはあっても、ものを贈ったことはなかった。
今年に限ってこんなことをしたくなったのも―――それも全て―――

「俺がお前の浴衣姿を見たいって言ったの、覚えてたんだ」

進藤の視線が、浴衣から僕へと移って来た。

「ってことはー」

そこで彼はにっこりと、さも嬉しそうに顔を崩した。

「俺の分だけじゃなくって、お前も自分の浴衣を用意してるんだよな?」




進藤は自分では着付けが出来ないと言うから、僕がしてあげる羽目になった。そこまでは想定内だったが、自分で着るのと人に着せてあげるのとでは、まるで勝手が違う。
しかも相手は進藤だ。余計な雑念を入れまい、手早くやってしまおう・・・と。
焦れば焦るほど、彼の肌から立ち昇るほのかな汗の匂いや体温を、どうしたって感じてしまう。
その生々しさは、僕の予想を超えていた。
―――つまり、意識している相手というものは、自分を掻き乱す厄介な存在でもあるということだ。

「俺、マネキンみたいー。何もしなくていいの、楽チンだなー」

能天気な声に、ムッとする。

(君が何もしない分、僕が大変な目に遭ってるということがわからないのか、この男は!)

着付けが終わる頃には、自分の額にうっすらと汗が浮かんでいるのを感じた。

「ふう・・・これでいい、と。帯もきつくはないな?」
「うん!着心地もサイコーッ!案外、動きやすいし。トンボの柄ってあるんだな〜、自由に飛んでるみて〜」
「色やデザイン次第では、ちっとも子どもっぽくないだろう?」
「うん!めちゃくちゃ気に入った!トンボ、好き!」

物珍しそうに袖を振ってみたり、足を上げてみたりしている様子は、まるで小さな子どもだ。
苦労して着せ付けた甲斐があったと、僕も素直に嬉しかった。

「さてと。じゃあ、僕も着替えるから」
「うん、いいぜ」
「いいぜって・・・見られていると落ち着かない」
「手伝おうか?男同士じゃん」

―――わざとだ。これは、わざとだ。僕が困ると思って、わざと言っているのだ。

「断る。先に縁側に行って碁盤の用意をしてくれ。あと、飲みたいなら酒も」
「あれ?飲みながら打ってもいいの?」
「誕生日のお祝いついでだ、今日は特別に許す」
「やったぜ、ひゅ〜♪大体お前は緒方先生と違って、酒に関してはカタイんだよなぁ・・・」
「その緒方さんを見てるから、そうなるんだろうが」
「そっか?」

浴衣の裾を気にしながら、進藤が座敷を出てゆく。
食い下がられなくて、僕はホッとしていた。どうしても着替えを手伝うなんて粘られたら、気まずくなるばかりだ。
進藤を追い払うことに成功した僕は、急いで着替え始めた。





縁側に行くと、進藤が腰掛けて庭の方へと足を投げ出し、早速月見酒を楽しんでいるところだった。
その横には、さっき花瓶ごと運んでくれたススキが微かに揺れている。

「ススキは神様の憑代だそうだ。昔から、魔を払うと言われているとか」

背後から声を掛けると、進藤は弾かれたように振り向いた。

「より、し・・・へ?よくわかんないけど、魔とか何とかってことは、ススキはイイもんだってこと?」
「まあ、そういうことだな。悪いものを遠ざけてくれる。他にも収穫したものを月に見せるように飾ることで、来年もまた豊作になるようにとお願いしたんだろう」
「詳しいの、草花だけじゃねーんだな。さすが塔矢、物知りー」

嬉しそうに言いながら、進藤が横に座れと指を動かした。素直に従う。
自然に会話が流れていったから、まさかその次に何が起きるかなんて、想像もしていなかった。

「っ!」

僕の髪の毛に、進藤がその指で触れたのだ。

「お前の浴衣は白いんだな。白い浴衣に黒髪っていいな。スゲー似合ってる・・・」

指先だけを使い、髪の先をそっと揺らして弄ぶ。彼の方を見るといけない気がして、僕は頑なに前を向いていた。
それを何某かの了解と受け取ったのかもしれない。進藤はもっと予想外のことをした。
今度は、僕の手を握ったのだ。
反射的にその手を引っ込めようとしたが―――強い力で阻まれた。

「ありがとな、浴衣」
「うん・・・気に入ってくれたのなら良かった」

どうしていいかわからない。お礼を伝えたいだけでこうしているのなら、無理に解くのも大人げない。動かない・・・というよりも、僕は完全にパニックで固まっていた。

「俺に選んでくれた浴衣もだけど、お前だよ」
「えっ・・・」
「お前の浴衣姿、すっげーーー見たかったの。どっちかっつーと、そっちの方が自分の浴衣よりもサプライズだった・・・なんか、嬉し・・・」

止せ。雰囲気出すのは止めろ。そんな風に、僕に対して「お前は特別」的な思わせぶりな態度は止めてくれ。
そうでないと・・・僕は・・・・・・・・・

「塔矢」
「っ!?」
「あのさ・・・俺・・・」

握られた手に、力がこもった。何かが始まる。スイッチが入ろうとしている。
その予感が、最高潮まで達した瞬間―――

「そうだ!浴衣だけじゃないんだった!」
「っ、あ、ああ〜?」

僕はいきなり立ち上がった。
こんな空気には耐えられないと、先に限界に達したのは僕の方だったのだ。
いつもはいい具合に僕らの間を取り持ってくれる黒猫のテンも、今夜はどこかに行ってしまって戻らないのも痛かった。
不自然なのは十分わかっていたが、僕は一旦、座敷へと向かった。それから進藤の為に用意していた下駄を手にして、戻って来た。

「これで外を歩いても大丈夫だ。浴衣にスニーカーという訳にもいかないだろう」
「おおっ、サンキュー!・・・てーことは、お出かけも付き合ってくれるんだな?」
「いや、それは・・・もう秋だし、そんな機会は・・・」

(それじゃ、まるで僕が浴衣を贈ったのは、これで一緒に出掛けようと誘いたくてそうしたみたいじゃないか・・・あああああ・・・)

「いいじゃん、別に。秋祭りのあるとこ、探してみようぜ。まだ9月じゃんか」
「うん・・・」

進藤は、これもまた物珍しそうに下駄を履くと、そのまま縁側から庭先へと出た。
カラカラと音を立てて歩くのが、心から楽しそうだ。僕も、みるみるうちに気持ちが晴れる。さっきまでのパニック状態も、嘘のように解けた。
・・・今なら、きっと。肝心なことが言える。

「進藤。本当はこれだけじゃない・・・実は、仕上げがある」
「え?ナニ?」
「浴衣と言えば、最後にこれを・・・」

僕も縁側から庭へと降り、それから腰に差していた扇子をおもむろに取り出した。

「これを腰に差せば、完璧だ」
「ああ、そっか・・・」
「だがこの扇子は僕のもので、君には用意していない」
「・・・」
「君には大事な扇子があるようだから、それを差したいかもしれないと思ったから。・・・もちろん、扇子を持ち歩くかどうかは、自由だ。浴衣を着る時の決まりごとかどうか、僕も詳しくはない。大事な扇子なら持ち歩かない方が安全だ」
「うん、ありがとな」

僕は自分の扇子を腰に戻した。それからまた、月を見上げる。進藤の横で。

「いい月だな」
「うん・・・綺麗だ。それしか言えねーけど」
「十分だよ。だってこうして同じものを、同じ場所で、並んで見てるんだから―――」
「ん・・・」

また。まただ。空気が変わろうとする時、人はちゃんとそれがわかるんだな。わかるように、作られているんだな。
もう、迷わない。さっきは不意打ちだったけれど、今度は・・・今度、こそは・・・・・・・・・

「ひゃっ!」
「え、なに?」

進藤がすっとうきょうな声をあげたので、僕もビクッとなる。見ると、テンが彼の後ろにいた。
そして。テンは、口に何かを咥えていた。

「これ・・・」
「まさか、君の?」
「ちょっと待って。俺、対局以外では持ち歩かねーから、今日も入れてない筈・・・」
「そうなのか?でも、確かにこれは君の・・・」

進藤本人が今日は持って来ていないと思っていたその扇子が、今、紛れもなく僕たちの目の前にあった。
進藤はゆっくりと手を差し出し、テンからそれを受け取った。途端に、その場に興味を失くしたかのか、テンはどこかへいなくなってしまった。
あっという間の出来事だった。

「アイツ・・・いい仕事しやがる」
「驚いたな」
「まあ、いいや。どうだって」

進藤の言わんとするところが、僕にもわかる気がした。
その扇子が進藤のリュックに入っていたのが、たまたまだろうが、或いは見えない力が働いたからだろうが、そんなことはどうだっていい。
その扇子が「今、ここにあること」―――それだけが、大事なことなのだから。

「あー、でもこのススキでテンと遊んでやろうと思ったのに、行っちゃった・・・これ、ねこじゃらしみたいじゃん?テンのヤツ、喜ばねーかなぁ・・・」

残念そうに言いながら、進藤がその扇子を腰に差した。

「どう?こんな感じでオッケー?」

尋ねられて、僕は襟と帯を辺りを整えてあげようと彼に近付いた。照れはもうなかった。ただ、自然にそうしていた。
それから僕はもう一度、半歩下がってから、彼をじっくりと眺めた。

「ああ、男前だ。満月も見ているだろう」
「満月・・・」

進藤が空を見上げた。僕もそれに倣う。
月は、波紋のように広がる光の環をまとって、柔らかく輝いていた。そしてその光が庭を明るく照らし、同時に影も生み出していた。

「うん・・・そうだな。多分、いや、絶対に俺が見て欲しいと思う時はさ、ちゃんと見てくれている・・・それが対局であっても、こんな風にお前と大事なことをしてる時でも・・・」

そして再び、彼が僕へと一歩、距離を縮めて来た。
今度こそ・・・ああ、本当に今度こそ、僕らは互いに手を伸ばし合った。その先に起きる全てのことを受け入れ、ともに手を取り合って進むために。
初めての抱擁の時、二人とも浴衣姿だったことを懐かしく思い出す日も―――いつかきっと来るだろう。

進藤ヒカルの誕生日には少しだけ早い、十五夜の晩のことだった。





(了)
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2015/12/21

ありがとうございます!  

アキラのお誕生日から一週間。お祭り会場にも新しい作品が増え、嬉しい限りです。
拙作も読んで下さり、ありがとうございます。↓に(続きを読む)拍手メッセージのお返事を置いておりますので、クリックしてどうぞ〜
・・・いや、ちゃんと書いておかないと、最近では「拍手メッセージ」とか「ブログ」とか「BBS」とか、そういうものに触れる機会も少なくなっていると思われるので^^;

投稿した拙作は二つ前の記事にあります。
お祭り会場へは↓からお戻りください。



拙サイトのブログへはこちらからどうぞ。今はここしか稼働していません^^;
http://orange.ap.teacup.com/applet/yukarin/archive?ap_protect=pe3rtjlds3e



そして最後に、当サイト恒例の乾杯グラス写真を(笑)
ブログには一度載せたものですが、お誕生日部屋にも。アキラさん、おめでとう♪
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2015/12/14

おめでとう!  

アキラさん、お誕生日おめでとうございます!
29歳になり、トップ棋士としても一人の男性としても、充実期に入る頃かと思います。
いつまでもいつまでも、お幸せにv大好きですv

そして今年もお誕生祭開催、おめでとうございます。
主催様のおかげで、こうして皆さんと一緒にお祝い出来ることを深く感謝いたします。ありがとうございます(^^)

拙作はひとつ前の記事↓にありますので、他愛のない話ですが(ヒカアキ前提)楽しんでいただけたら嬉しいです。
ご訪問、ありがとうございました。






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