稲原だ。
豊田利晃監督の『ナイン・ソウルズ』をビデオで観た。
刑務所から脱走に成功した9人の男たちがそれぞれやり残したことへの決着を心に誓い、旅をする、といった映画。
この、脱走する9名の面々が濃い。
原田芳雄/松田龍平/千原浩史/鬼丸/板尾創路/
KEE/マメ山田/鈴木卓爾/大楽源太
ちょい役で登場する女優陣も無駄に豪華。
伊東美咲/京野ことみ/唯野未歩子/今宿麻美/鈴木杏/松たか子
・・・この監督の豊田利晃という人は、
以前に松田龍平主演の『青い春』も撮っている。
『ナイン・ソウルズ』『青い春』。
このふたつの作品を観て思ったのだが、俺は豊田利晃作品が「苦手」だ。
俺の好きな役者・・・
原田芳雄/千原浩史/板尾創路を出しておいて、この仕上がりは無いだろう・・・・と思った。
独特の間延び感というか、暗さを感じる。
もったりした、演出が沈滞してしまっている感じ。
おそらく狙った演出なんだと思うが、
扱う題材は、テキパキとテンポ良く描いたら面白そうなものばかりなのに。
「人間の心の悲鳴をじっくりと見せる」という意図だと思う。
その意図自体はいいのだが、じっくりというよりはもっさりといった感が否めない。
じゃあ全部ダメかといったらそうではなくて、
シーンごとで見ると、非常に印象に残る箇所がチラホラ。
板尾創路・千原浩史が迎える末路とかがそう。
●
っていうか、板尾創路・千原浩史の演技がいい。
よく考えたら、二人とも役者ではなくお笑いの人だ。
演技がいいというよりは、カメラの前でも自然体で喋っている。
普段の喋りで映画のセリフが言えている。
コントや漫才で「アドリブじゃないんだけどアドリブっぽく見せる」
ことを常日頃から実践しているからだろうか。
ちなみにその他でこの自然体演技をしているのは、浅野忠信や、木村拓哉。
この自然体演技の難点は、結局どの作品に出ても同じ演技なことだろうか。
どんな役柄だろうと同じ演技なのだ・・。
でも凄いと思う。
真似できない。
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っていうか、『ナイン・ソウルズ』主演の松田龍平は相変わらずの棒立ちっぷりだ。
極端にセリフが少ないのは、ボロが出るのを最小限に抑えるためにしか見えない。
異質な雰囲気だけで押し切っている。
しかし、彼の演技が「うまくないといけない必然」が無い。
彼は「松田優作の息子」であることが重要だからだ。
それだけでインパクトがある。
表情や立ち姿のどこかしらに松田優作の面影を出せばいいからだ。
まだ、松田優作のシャドウのままで許されている。
まだ若いから、「あの人に比べて俺はなんて下手なんだ」と自らに絶望して、徐々に演技を洗練させるもよし。
その異質な存在感をさらに強固なものにするもよし。
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