高学年になると、家庭科が始まります。初めて針と糸を持つ子どもたちは、もうわくわくドキドキ

針に糸を通して、たま結びと玉どめだけで大興奮

…と大混乱



「先生、糸を通せない

」「先生、たま結び、結び目にならん

」
「どうやるんだっけ

」
ミシンなんか始まったら大変です

あちこちで返し縫いを忘れ、縫い目を布から落とし、下糸がガチガチにからまってミシンが動かなくなって…

「先生

」
「ミシン壊れた

」
「これでいいの


」
「下糸出せなくなっちゃった

」
…身体がいくつあっても足りません

おかげさまで、アラタはすっかり家庭科というよりもミシンの修理屋さんとして、かなり技術が向上いたしました。
そんなある年のこと。同じ五年生の家庭科を担当している先生と相談し、『家庭科ボランティア』を募ったらどうだろう

」という話になりました。一人でも来てくださればこんなに嬉しいことはない

。そう思って募集した所、なんと10名以上の方が来ていただけることになりました。中には地域で小物作り教室を開いていらっしゃる『プロ』までいて、感謝、感激です
ところが…
「ねー、まさや(仮名)っち母さん、これどうやる

」
「え

これ、さっきも教えたじゃない。」
「ん

忘れた。」
「・・・・・・。」
「あーーーーー!!!ダメだよ。口あきどまりの折り方、さっき先生が説明したでしょ?折ってから長方形みたいに縫うんだよ。」
「え

そーだっけ

オレ、わかんねぇからおばさんやって。」
顔を見知っているお母さんたちにみんなやらせようとするのです。アラタ、慌ててボランティアさん達に来ていただき、手を出すのではなく、できるだけアドバイスをお願いしますとお話しました。
初めてのボランティアの皆さんと一緒に行ったミシンの授業。ボランティアの皆さん、一様に現場の大混乱にびっくり
「先生、子どもらってこんなにできないもんなんですか?」
「いえ、できないって言うより、やらないし。」
「今日、サッカーでたっちゃんちママに会うから、あんたっちの子は話全然聞いてないよって教えてやんなきゃ

」
「先生、いつも一人でやってるんでしょ?よくもまあ


」
皆さん、興奮して口々に言ってる間にだんだん落ち着いてきて…
「それにしても先生、うちらの時はもうちょっと先生の話を聞いてたと思いません?何回言ったって聞きやしない。」
「そうよねえ。聞いてなくたって声は出さないくらいはしたわよね。」
「今の子、どうなってんの?」
「全く、親の顔が見たい。」
「・・・・・・・・・・」
「って あたしらか







」
ボランティアのお母さんたち、爆笑



さすがに志願して来てくださったお母さんたちだけに、次の授業からはできるだけアドバイスに徹し、子どもに甘えられないように教えてくださいました
PS おまけ
次の年
「アラタ先生、昨年は家庭科ボランティアさんに入ってもらったんですって?」「はい。何かありましたか?」
「かずやさん(仮名)が言うんですよ。『去年はみーんな母さんちにやってもらったから、俺、下糸の出し方なんてわかんねぇ』って。」
「・・・・・。」
子どもはツワモノです

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