ただ今、我家には乳児がいる。
夫と二人して、その乳児を猫可愛がりしている。
Whole Foodsの乳児用品売り場に行くと、ついつい足を止めて、
夫なんかジッとおもちゃを見ながら、
「これ買ってったら、あの子、喜ばないか」と言ったりする。
その乳児の名は、『豆ちく太郎』。
ええ、猫の子供です。
豆ちくは猫のお医者さんに福ちくのお相手に、と
託された子猫だったが、体の模様がとてもぽんちゃんに似ていた。
それが私をとても喜ばせもし、悲しませもしたが、
幸か不幸か、性格はぽんちくと似た所は一つもなかった。
ぽんちくが永遠の子猫で甘え上手、あの大きな翡翠色のお目目で、
「ぼくちゃんね、可愛いの」と言うとするなら、
豆ちくは永遠のお社長で、「あー、いそがし」とちっともジッと
せずに動き回るような、そういう猫である。
ぽんちゃんはケイたろの事を『キャットキラー』と呼び、
夫の事を『”アラー”ってしゅる人』と呼んで忌み嫌っていたが、
豆は己の事を最強と思っているようで、怖い者がない。
唯一頭が上がらないのが我家の雌猫達だけで、
そこいら辺には異様に気を使うが、人間の方には至って横柄なのだ。
しかしながら、新入り二人組の内の福が全く人見知りがないのに
比べると、豆は家族以外の人間を最近になって識別し始め、
お客人には人見知りを始めたから笑える。
だが、ぽんちゃんの人見知りとはひと味もふた味も違い、
近くに寄りはしないが、必ずどこかから監視していないと
気が済まないのだ。
先日なんかこたつの布団の所から、ソッと目から先だけ出して
客人を伺い、目が合うとサッとこたつの中に隠れて、
思わず客人の笑いを誘っていた。
そして、一度見た客人の顔は忘れないようで、
二度目の来訪からはさして興味も示さず、サッサと我々の
寝室に戻って、とっておきの自分の場所でグウグウ寝ていたりする。
その上、ぽんちゃんは子供の頃からそれ程大騒ぎをする質では
なかったが、豆は起きてる限り『わっしょい祭り開催中』だから、
それはそれは大変である。猫のプレイマットがあるのだが、
夫は休日中、実に日に5度以上、リビングから所定の位置に
片付けなければならなかった。
豆がそれをくわえて我々の寝室にある所定の位置から
リビングまで引きずって持って来るからだ。
もう、大暴れまくり。
なのに、どんなに暴れていても、夫が自分の来ているTシャツ等の
裾で袋を作って「カンガル〜」と言いながらそこに入れて
抱っこすると、いつまでも大人しくその袋に入っているのだ。
そうして、そんなに猫に興味のなかった夫をして、
先の台詞を言わしめる程にしてしまったのである。
ご飯の時には膝にちょこんと座って分け前を貰う。
それは、もう、離乳食をやっている時のような気持ちになる。
「豆ちゃん、これは塩がきついから、豆ちゃん食べれないのよ」とか
真剣に言っちゃってるし。
そして、昨晩は夜中に布団の上で吐いた。
すると、夫は起きてきて、
「豆が吐くなんて!どこか悪いんじゃないのか!」と取り乱し、
私はカバーやシーツを替えたりしながら、
「大丈夫だよ、昨日お姉ちゃんやお兄ちゃんと一緒にキャットニップ
沢山食べたから、毛、吐いちゃったんだよ」と言うと、
「ああ〜、かわいちょ〜にねぇ〜、ゲェ〜ちゅるのちんどかったね〜」
と、猫なで声で言いながら、すっかり吐いてしまって真夜中に
わっしょい気分になっている子供、いや、もとい子猫を抱こうとして
シュルルル〜ともの凄い勢いで逃げられていた。
それにしても、夜中に布団カバーを替えたりして、
子供が小さかった時の事を思い出して懐かしかった。
「こういう事、よくあったなぁ・・・」。
そんな訳で、ただ今、我々44歳と43歳夫婦、子育て再開ちう。
孫でもこうはいかんだろうて、と思う程に猫可愛がりちう。
また、一緒にやって来た福もラブリーな性質で、
夫はこちらにも骨抜きになっている。
「豆ちゃん、福を見てご覧!福ちゃんみたいにならなあかん!」と
おイタをした豆を叱っていたりする。
「ねぇ〜、福たん、かわいいねぇ〜、福たん」
二人ともばあさん(注:みゃんこ大先生の事)、兄さん、姉さんと
同じ位スクスク育ってね。そいでもって、ぽんちゃん兄さんの
分も長生きしてあげてね。・・・と、思っちゃう。
この子達との出会い。
ぽんちゃんが持って来てくれた良きお話だったのねぇ。
ぽんちゃん、ありがとうね。

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