2006/9/18
欧州の知れた大都市・ロンドン。
ここに拠点を構えてから、もう少しで2年が経つ。
夕暮れ時のビック・ベンをバックに、息をつく。
「今日は良く寝れそうだわ〜」
伸びをしながら、1週間の疲れを労う。
びっちり書き込まれた手帳のその僅かな空白に目をやり、
にやりとしていると、突然バックの中から振動が響いた。
「・・・んもぅ〜」
兎角、放って欲しい時に限ってやってくる携帯に
私はため息交じりで、応対した。
『あ、橙子?ごめんね、今大丈夫???』
聞きなれた友人の声に、少し面倒臭そうな口調で返す。
「ライザ、どうしたの?」
ライザは、私の声を聞くなり、どことなく必死に訴え始めた。
『実はお願いがあってさ・・・』
「お願い?」
唐突な展開に首を傾げつつ、その続きを待つ。
『観光客の現地コーディネーター、お願いできない?』
「・・・・・・・・はぁ?」
全くもって、その経緯やら真意やらが理解しきれず
私は、ライザに言葉を返せなかった。
暫くの間の後、私は問いた。
「・・・で、いつ頃からの話?」
『・・・・・・・・・・・・・・明日、から』
「あ・・・明日ぁ!?」
6時の時計の鐘の音よりも、大きく思える声を発してしまった私は、
思わず川べりへと顔の向きを変えた。
「・・・私、明日からはだめなんだけど・・・」
すでに前もって抑えていた計画を頭によぎらせ、久々のオールオフを
アピールする。
・・・が。
『ふぅ〜ん・・・そっかぁ。残念だなぁ〜せーっかく今夜は
橙子の大好きな海鮮料理ごちそうしてあげようと思ったのにぃ・・・』
「えっ!?」
食いつきの良い私の反応を聞き逃さないライザは、なおも誘惑する。
『エビ・カニ・イカvあんたの目のない寿司とかも、いっくらでもつけちゃうわよぉ〜?』
・・・数秒の、沈黙の後、私はその言葉に応じてしまったのだった・・・

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投稿者: minamishima
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