世界で一番 遠い場所

2009/5/30

タイ05■赤いバス・旅の原点  south-east asia◆

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バンコクを走る赤いバスが好きだ。
真っ赤なボディの古臭いバス。
値段が安いコトもあるのだけれども、同じ路線でも青バスや冷房バスが来てもスルーして赤いバスが来るのを待つ位に好きだ。

バス停で待つコト、30分。
ようやく目当ての赤いバスの2番系統がやって来た。
来る時は連続して来るのだけれども、渋滞がひどいバンコク。来ない時はからっきし来ないのが、難点な赤いバス。
バス停の前で待っていても、大体、ひどく手前だったり、歩道側の車線で止まってくれなくて、3車線先に止まったり。
そのたびに、多くのタイ人と共に、そのやって来たバスを逃すまいとして小走りになる。
競うようにバスに乗ったら、固い座席に座る。
木の床は多くの人を乗せた証のように黒光り、排気ガスとけたたましいエンジン音と共に走り始める。
冷房なんてモノはもちろんナイ赤いバス。
バスは、全開になった窓からバンコクのぬったりとした排気ガス混じりの空気を車内に取り込んで、走り出す。

なんてコトのないバス。
でも、今でこそすんなり乗れるようになったけれども、初めてバンコクに来た時は、このバスに乗るコトですら一仕事だった。車内放送なんてモノは皆無だから、降りるのも苦労した。バスから降りた瞬間に、RPGで何かアイテムをゲットした時のような感覚を覚えた位。
ま、それは海外でバスに乗ったら、どの国でも同じことなんだけれども。

用事がなくても、クッションの皆無のこの赤いバスに揺られたくなる。
赤いバスに揺られた瞬間に、僕は自分の旅の原点を思い出せるから。

初めての一人旅。
初めてのバンコク。
日本から乗って来たノースウエスト航空は深夜にバンコクへと到着した。
ガイドブックも何も持たずに出た旅。
とりあえず闇夜の中、赤い59番のバスに乗って、僕はバンコクの市内へと入って来た。
その時、バスの車内から見た風景・匂い・風・温度。
それは今でもまざまざと思い出せる。

旅に慣れてしまった最近の僕の旅。
でも、この赤いバスに乗るだけで、僕は原点を思い出せる。
バンコクに来たら、その原点に逢いたくなる。
それがバンコクでの大切な用事の1つの如く…
いや、このバスに乗らないとバンコクに来た感じすらしない程。

高層ビルが立ち並び、ブランド物の店や歓楽街のある東南アジア有数の町・バンコク。
その都会・バンコクに似あわない冷房のない路線バス。

いつまでこのバスは現役で走っているんだろう。
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