2005/2/23
古見豆人の「俳句初心者のために」に、
『先ず創作を進めて、然る後に、理論の研究に入るべきである。若し理論の研究を究めてから作ろうと企図するならば、おそらく何年たっても、作る機会は来ないであろう。俳句に関する理論の研究を進めて、俳句に就いての鑑識が高くなれば、高くなるほど作れなくなる。こんな句を作ってもつまらない、こんな句を発表したら嘲われるであろう、などとためらって、遂に作れなくなって了うのである。だから、何よりもかよりも、先ず作ってみるのが第一である。そして沢山出来るようになったが、さてこの中どういう句が佳くて、どういうのがつまらない句であろうかと考えるようになる。その時に至って、俳句に関する理論を読めば、その理論がわかりもするし、また創作にも役立つのである。それから後は、作ることに依って想像力を伸ばし、理論の研究に依って鑑識を高めてゆく、そして創作と研究を平行させる。否平行させるというよりは、創作と研究とを一筋に縄なってゆくのである。そうなってからは、創作ばかり進めても、佳い句は出来ず、鑑識ばかり高くなると、スランプに陥って句が出来なくなるであろう。
作ったならば、先輩に批評してもらう。或いは俳誌に投句し、採られた句と、棄てられた句とを比較してみてどういう句は佳く、どういう句はつまらないかを考え、句の着想、句の表現について思いを潜める。若し修正されていたら、句の推敲について篤と考えてみなければならない。』
と書かれています。
これは、大変に、奥の深い言葉だと思います。
俳句は、どんな段階でも、それぞれの段階に応じた、実作と理論のバランスがあり、それが大切なのだという、豆人さんの俳論に共感します。

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