□「脳トレ」、脅威の第1位!
問題:今週(9/22)の「ファミ通TOP30」の第1位は?
「テイルズ」?「ウイイレ」?「ロックマン」? 全部「ブ〜」
回答:ニンテンドーDSの「脳を鍛える大人のDSトレーニング(脳トレ)」
驚くなかれ、発売4ヶ月にして初の1位で、堂々の累積52万本を達成。
通常のソフトが発売2週目で第1週売り上げの20%に激減、3週目にさらにそ
の半分になるという業界の「常識」からするととてつもない偉業です。
そればかりではありません。この「脳トレ」。ゲームには無縁だったシニア
層にも広くアピール。任天堂の岩田社長によると、「脳トレ」ユーザーのな
んと60%がDS本体を同時購入したのだとか。新ハード発売時の同発タイトル
ですら30%がいいところ、というのを考えるとこれまた考えられない数字。
この「脳トレ」に加え「nintendogs」、「やわらかなあたま塾」といった
一連の戦略商品群の威力はすさまじく、DSは実売で300万台の大台を突破、
週間売り上げもPS2の2倍以上の6万台に達し、携帯ハード全体の売り上げは
昨年の321%という急成長をとげたのです。
□「業界全体がゆっくり死んでいく」
2年前の東京ゲームショウ(TGS)2003のTGSフォーラムで任天堂の岩田聡社長
基調講演「ファミコンから20年〜ゲーム産業の今とこれから」において、
「どんな産業も同じ構造で30年は成長しない。ファミコン登場以来20年間成
長を続けきたゲーム業界は今、成長の岐路にある」と警鐘を鳴らしました。
そして今年再び基調講演「ゲーム人口の拡大に向けて」に登壇した岩田社長
は、「市場が拡大できなければ業界全体がゆっくり死んでいく」と、市場拡
大の必要性を訴え、任天堂はそのためにこの2年間、
1)ゲームから離れた人を呼び戻す
2)新規のユーザー獲得
3)ゲーム熟練者も初心者も楽しめる商品を提供
のための施策をうってきたと語りました。
そしてそれが結実したのが「ファミコンミニ」シリーズの大ヒットであり、
ニンテンドーDSの快進撃だったわけです。
そして岩田社長はさらに驚愕の発表を...
□驚愕の「片手操作」コントローラー
左手の方向キー、右手のボタン。任天堂がファミコンで確立したゲーム機の
コントローラーは、スーファミ、プレステ、ドリキャス、PS2と進化しつつ
も基本となる左右の手での操作は全く変わりませんでした。
ところが、岩田社長が発表した次世代機「Revolution」のコントローラーは
「コントローラを両手でもつ」という常識覆す、テレビのリモコンのような
「片手操作」タイプ(以下「片手コン」)だった!この「片手コン」の先端
には「ダイレクトポインティングデバイス」があり、「片手コン」を画面か
ら遠ざけたり、ひねったりすることにより、まるで釣竿やドラムのスティッ
クのような動きをコントロールできるという驚愕の一品でした。
私はニンテンドーDSのようなタッチパネルを使ったコントローラーを出して
くるかもと予想していたのですが、見事にやられてしまいました。
「片手コン」は「家庭でゲームコントローラーをさわらない人がいるのにテ
レビのリモコンは誰もがさわる」ところからの発想だそうで細身にすること
で「いつも机の上にあって家族全員がさわれる」ことを狙ったのだとか。
その上、拡張コネクター経由で従来の方式に近い「両手操作」も可能。
さすが、任天堂。実によく考えられています。
□任天堂のチャレンジに脱帽
この「片手コン」はFPS(主観視点のシューティングゲーム)に最適でしょう。
ほとんど従来からあった「ガンコン」のノリで使えるでしょうね。でも微妙
な動き、タイミングを要求されるアクションゲームにはどうでしょうか?
岩田社長の答えは「ゼルダのようなアクション主体のゲームに適用し、新し
い操作方法を確立したい。」
ウーム、年末発売予定だった「リアルゼルダ」がいつのまにか来年発売にな
った理由が見えてきました。まずまちがいなく「Revolution」の牽引タイト
ルになるでしょう。全世界のゼルダファン(当然私も)は「Revolution」即
買ですね。
「誰の目にも明らか、直感的にでき、良い意味で人を驚かせなければならな
い。任天堂はそれそ目指す」岩田社長は基調講演をそう締めくくりました。
今はただ任天堂のチャレンジ精神に脱帽、ひたすらスタンディングオベーシ
ョンです。そしてその挑戦が広くゲーム業界を巻き込む大きなムーブメント
となることを心から願わずにはおれません。
※この原稿は以下の講演画像を元に記載しました。
http://www.nintendo.co.jp/n10/tgs2005/index.html
※※「おとゲー」2005/9/23、30号掲載

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