※以下は例のごとくネタバレありありです。サラシをきっちりまいてから
お読みください!
■セガ、名越稔洋の決意
「デイトナUSA」、「スパイクアウト」など数々のヒットをとばしたセガを
代表するクリエイター、名越稔洋氏。2年前にこんな決心をしたそうです。
「現代の日本を舞台にし、万人向けでない対象を絞り込んだ、圧倒的なク
オリティーをもつタイトルを作ろう。」(「ゲーム批評」2005年11月号)
そして名越氏が企画したのが「裏社会を舞台にしたバイオレンスな18歳以上
対象のアクションゲーム」である「龍が如く」。ファンタジーでもホラー
でもないこの「ドラマティック」なタイトルの企画にはセガの社内でも喧々
諤々のやりとりがあったそうです。しかし、反対派の「バイオレンス系の
ネタは余りにも逆境。リスクも高く危険。」というごくマットウな正論に
「こういう作品が正しく作れてこそ、ゲーム市場を活性化できる」という
名越氏の情熱が打ち勝ちったのでした。ゲーム会社としてのセガの懐の深さ
に「やるじゃんセガ!」と快哉を叫びたいですね。
■ある極道の物語
欲望と暴力が渦巻く街、神室町。 親友のため、愛する女のために
「親殺し」の汚名を背負った伝説の極道、桐生一馬。 10年後、舞い戻
った神室町で待っていたのは、自分を恨むかつての組織の人間たち
と危険な罠だった...
「龍が如く」ではストイックな極道の生き様、義理、人情、男気にあふれる
ストーリーが展開されていきます。私も典型的な「仁侠もの」だと思いなが
らもどんな状況でも信念をつらぬく愚直な桐生の生き方にしだいにひかれて
いきました。そして桐生の恩人である風間新太郎の熱いハートを本当の優し
さに思わずホロリときてしまいました。
終盤ちょっとブットビすぎの傾向もありますが、作家の馳星周氏が監修した
重厚なシナリオを最後まであきることなく楽しめたのでした。
■ 「死にたいやつはかかってこい!」
「龍が如く」のウリは重厚なストーリーだけではありません。「バーチャフ
ァイター」や「パンツァードラグーン」といったセガの看板タイトルを手が
けたスタッフが作り出したバトルシステムもよくできてます。
なにせかっては「堂島の龍」と呼ばれた伝説の極道。街を歩けばそこらじゅ
うで因縁をつけられ、ケンカを売られまくり。もちろんチンピラなんて目で
はないし、勝てば経験値もお金もたまる(「これで勘弁してください」と
相手からお金を差し出してくる)ので悪くはないのですが、後半はちょっと
ウザイです。「逃げる」がもっと簡単にできるとよかったですね。
「死にたいやつはかかってこい!」、ドスの聞いた声で迎え撃つ桐生、気分
は最強ファイター、「伝説の極道」ですね。
■「凶器」使いほうだい...
バトルはほとんど街中で行われるストリートファイト。パンチとキックが
基本ですが、拳銃からバット、木刀、日本刀、手榴弾まで武器はなんでも
あり。防弾チョッキを着用すればピストルだって怖くない!
さらにストリートに落ちてる鉄パイプやビール瓶、クラブの看板からビール
のケース、長いす、自転車までなんでも「凶器」としてブン回せます。
チンピラを違って桐生を狙う組織のボスたちはさすがに手ごわいです。まあ、
回復薬を使いながら戦えばなんとかなる程度の難易度なんですが、3回以上
負けると「EASYモードにしますか?」と聞いてきます。アクションが苦手な
プレイヤーへも配慮してますね。
ただシューティンがヘタレな私は第九章の高速道路での銃撃戦はチョー苦戦。
何度も「EASYモードにしますか?」の誘惑に負けそうになりながらギリギリ
でマシンガンの敵を倒したときは思わず安堵のため息でした...
※「おとゲー」2006/3/31号掲載

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