□イーストウッド監督の「硫黄島」
今年も見ごたえのある邦画が多くて楽しませてもらいました。特に「バッシ
ング」の占部房子、「紙屋悦子の青春」の原田知世、「フラガール」の蒼井
優...女優さんたちの素晴らしい演技が印象的でした。
年末に公開されたクリント・イーストウッド監督の「硫黄島」二部作は日米
の壮絶な戦闘をヒロイックにもならず、誇張もせずきっちりと描ききってい
て心を揺さぶられました。映画としては「父親たちの星条旗」の完成度が高
いと思いますが、「硫黄島からの手紙」の二宮和也が実に見事なはまり役で
彼の「自然体」の演技は一見の価値がありますね。アカデミー作品賞(監督
賞)の期待ももてそうです。
□「ブラックラグーン」の最強の女たち
アニメ・コミックでも強くて自由奔放なヒロインの活躍が目につきました。
「Fate/staynight」のセイバー、「武装錬金」の斗貴子さん、そして「ブラ
クラグーン」の最強の女たち。タイのロアナプラの裏社会を突き抜けた覚悟
で生きる、いや「すでに死んでいる」と言い切るレヴィたちのドラマは見ご
たえがありました。
劇場で公開されたアニメでは「時をかける少女」が圧倒的。ヒロイン、真琴
のハチャメチャ・ドタバタぶりに涙を出るほど笑わさせてもらいました。シ
ナリオ、キャラクター、背景とどこをとっても驚くべき完成度で細田守監督
の力量に感服しました。
□北方「水滸伝」の「漢」たち
読書は例によって「少数精鋭」だったのですが、あさのあつこ作の「バッテ
リー」は天才投手、原田巧のトンガリぶりがなんともすがすがしくて一気に
読みました。同じ作者の「THE MANZAI(ザ マンザイ)」も関西弁の会話の
テンポがよかったです。
最近はまっているのが北方謙三版の「水滸伝」。従来の「水滸伝」に独自の
解釈を加え、見事な筆致で熱い「漢(おとこ)」たちを描いてくれます。
全19巻の大長編なので年末年始ゆっくりと楽しむつもりです。
※「おとゲー」2006/12/29号掲載

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