※かなりネタばれですのでこれから見ようと思っている方はご注意を!
■「新キャラ」の「破」
「エヴァンゲリヲン新劇場版:序」の「次回予告」の「2008年公開予定」の
文字の下に小さく「スタッフ募集中」とあるのを見て覚えた不安が的中して
「2008年」は音沙汰なし。ようやく今年の6/27、第二部「破」が劇場公開さ
れました。でも監督の鶴巻氏が5月のインタビューで「本当に完成するのか
不安だ」といっていたほどで、その難産ぶりが容易に想像できますね。
さて第二部は「破」の文字通り、オリジナルに忠実だった「序」とうって
変ってあちこちで原作の「破」が。まずは新キャラ「真希波・マリ・イラス
トリアス」(マリ)。スリムなメガネっ娘なんですが、生真面目で深い葛藤
を抱えている他のエヴァパイロットたちとちがって図太いというかマイペー
スというか自分の快感のためにエヴァを操り使徒を狩る、異色キャラ。構想
の当初はもっとチョイ役だったようですがなかなかの存在感です。
■「アスカ」の「破」
オリジナルから大きく立ち位置が変わったのがアスカ。名前が「蒼流・アス
カ・ラングレー」から「式波・アスカ・ラングレー」と微妙に変わっている
のもその表れかも。「あんたバカァ??」の名セリフは健在ですが、やたら
にトンガっているだけの少女ではなくなっています。
自分だけじゃ何もできないと思ったり、レイとシンジの微妙な関係を気にし
たり、ゆらゆら揺れ動くその感情は普通の14歳の少女のものでしょう。
しかしアスカの「青春」はほんの束の間。シンジ、レイにかわってエヴァ3
号機に搭乗するのが...アスカだったのですから。後はオリジナルのファ
ンには語る必要もないでしょう。映画館の観客は皆、シンジが味わったよう
な喪失感を共有することになります。
■「綾波レイ」の「破」
そしてある意味、アスカ以上の「破」をみせてくれるのが綾波レイ。感情と
いうものを全くあらわさず、いつも一人だったレイが、シンジの作る味噌汁
を飲んで「おいしい。」そしてアスカにシンジのことをどう思っているのか
とつめよられて「よくわからないけど、イカリ君のことを思うと、気持ちが
ポカポカする。」そんなレイをみていると何か嬉しい気持ちになります。
3人の少女キャラたちに焦点をあててみましたが、もちろんミサトさんたち
オネーサン方もしっかりと描きこまれているし、さらに洗練された映像は
あいかわらずお見事です。
「破」のエンディング、オリジナルから離れて「広げに広げた」感じですが
次回の「Q」(「序」、「破」ときたのですが「急」ではなく「Q」になるそ
−です)でそれをどう畳んでくれるのか楽しみです。
でもまた1年半後かな?
※「おとゲー」2009/7/3号掲載

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