今回も「デジタルゲームの教科書」からのご紹介。「ゲームの市場」に関する
お話を。毎週「ファミ通」を熟読している私ですが新たな発見が続々と...
□「日本市場」の「収縮」
「ゲーム産業は不況に強い」、よく耳にする言葉です。たしかに他の業種の
ここ数年の落ち込みに比べるとゲーム業界は元気なようにみえますが...
2007年 ハード 3,466億円 ソフト 3,780億円
2008年 ハード 3,677億円 ソフト 3,677億円
2007年 ハード 2,361億円 ソフト 3,597億円
完全な右肩さがり、特にハードの落ち込みが大きいですね。ただ「デジタル
ゲームの教科書」は2005年の市場規模(ハード+ソフト)が4,800億円だった
ことからニンテンドーDSによって爆発的に広がった市場規模がブームの収束に
ともなって元に戻っただけ、という冷静な見方をしています。
2004年に発売されたDSも今年で6年。薄型、DSi、LLとつないできたものの
ハードとしての末期にあるのも確かでしょう。後継機?と目される「3DS」が
どこまで起爆力をもちえるのか、注目です。
□「北米市場」は「世界の中心」
10年前、「おとゲー」を創刊したころの「ゲーム世界の中心」は圧倒的に
「日本」でした。ところがここ3年の北米のゲーム市場の規模は...
2007年 179億ドル (1ドル=108円換算で1兆9,332億円)
2008年 213億ドル (1ドル=108円換算で2兆3,004億円)
2009年 197億ドル (1ドル=108円換算で2兆1,276億円)
2009年はやや落ち込んだとはいえ、日本市場(約6,000億円)の3.6倍!
これでは「猫も杓子」も「アメリカ、アメリカ」になるのもムリはありませ
んね。「ゲーム世界の中心」は「北米市場」なのですから。
ソフトの売り上げでみると「Call of Duty」、「Halo3」といった定番ソフト
以外では圧倒的に任天堂が強い。「Wii Sports Resort」「New Super Mario
Bros」「Wii Fit」「Pokemon Platinum」...さすがですね。
□「アジア市場」は「海賊版ありき」
以前北京に行ったとき、北京大学(いわずとしれた中国の最高学府)の学生
が「無料でゲームや音楽をダウンロードするのは当たり前」と話すのを聞い
てショックを受けました。良いものは一種の「共有財産」という発想で全く
罪悪感がありません。
これは台湾でも同じようで「海賊版の占有率」が、PC・据え置きゲームで
64%、携帯ゲーム機ではなんと95%! これではまともなゲーム商売などやり
ようがないですね。1枚のDVDで「シリーズ全タイトル入り」なんていうのが
あたりまえだったりするようです。
そのかわりというかそのためというかアジア市場の中心は「オンラインゲー
ム」。少し前まではオンラインゲームというと韓国でしたが、今や圧倒的に
中国。昨年の市場規模は258億元(3,354億円)と日本のゲームソフト市場
に迫る勢い。日本はGNPでも中国にぬかれ、ゲームソフトでも時間の問題の
ようですね。これからゲーム業界を目指す学生の皆さんは「目指せ中国市
場」になりそうです。
※「おとゲー」2010/6/11号掲載
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