□フェイリスの「おねだり」
過去へのメールの効果は絶大だった。「ぼく、女の子に、なりたいです..」
そう願った「男の娘」漆原るかの思いはかなった。動転して彼女?の股間を
まさぐった岡部は紅莉栖から死ぬほどぶちのめされたのはご愛嬌だったが。
「メイクイーン+ニャン2」でダルと岡部は「Dメール」と命名した「過去へ
のメール」の話をしていると、「ダルにゃん、今タイムマシンっていった
かにゃん?」とアイスコーヒーをはこんできたフェイリスがすりよってき
た。「ちょっとおねだりしていいかにゃん♪」魔性の微笑みでせまられて
即オーケーするダルだった。
フェイリスの家に招かれたダルと岡部は度肝をぬかれた。アキバの中心街
の高層ビルの最上階フロアがまるまるフェイリスの家だった。なんでも亡
くなったフェイリスの父親が大実業家だったらしい。フェイリスがポチポチ
とメールを送信した後、秋葉原は一変した...
□「バイト戦士」阿万音鈴羽
「世界線が変動したんだ...」岡部が呻いている。「Dメール」が過去を
変えた結果、現在も変わってしまったようだった。秋葉原からメイド喫茶も
同人誌ショップも消えて昭和の香りのする「電気街」がそこにあった。
「どうしたの?」三つ編みの可愛い女子が未来ガジェット研究所に顔をみせ
た。階下のブラウン管専門店でバイトしてる阿万音鈴羽(あまねすずは)と
いう娘で岡部が「バイト戦士」という渾名で呼んでいた。岡部は自分たちの
大発明を得意げにしゃべった。「ふーん、すごいね、君たちは」
鈴羽はちょっとかわった娘だった。遠いところからきたせいか東京のことは
何も知らないし、渾名のように「戦士」的な雰囲気もある。「秋葉原にはお
とうさんをさがしにきたの。」なぜか親近感を感じたダルは鈴羽の父親探し
を手伝うことにした。
□「タイムリープ」と「襲撃」
「天才少女」牧瀬紅莉栖は次の挑戦を開始していた。「電話レンジ(仮)」を
超える「本当のタイムマシン」の開発が彼女の狙いだった。SERNの実験から
物理的に「人」を過去に送ることは不可能に思えた。でも「記憶」だけだっ
たら?「脳科学」は彼女の専門分野。紅莉栖のアイデアを聞いたダルは、
興奮した。「そこにシビれる!憧れるゥ!」
「できた!」紅莉栖が歓喜の声をあげた。8月13日、タイムリープマシンを
完成させたのだった。ヘッドセットをかぶって圧縮した記憶を過去の自分に
送ればタイムリープができる。だが、紅莉栖もダルも、そして「マッドサイ
エンティスト」を自称する岡部さえもタイムリープマシンを起動することを
ためらった。「Dメール」ですら「世界線」を変動させた。タイムリープに
よる変化は予測不能だった。結論は「封印」となった。
その晩、未来ガジェット研究所のラボメンたちは「打ち上げ」をしていた。
「紅莉栖ちゃんはスゴイねぇ♪」まゆりが好物のジューシー唐揚げをほお
ばってニッコリした、その時ドアが乱暴に開いた。そして全身黒づくめの
の男たちが乱入してきた。SERNの配下の「襲撃」だった...
(「スーパーハカー」のお話は続く)
※「おとゲー」2011/11/19号掲載
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