□「絶対的エース」の「卒業」
AKBドキュメント映画の第三弾「DOCUMENTARY OF AKB48 NO FLOWER
WITHOUT RAIN 少女たちは涙の後に何を見る?」。昨年公開された
「DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を
見る」が3.11後のAKBメンバーの被災地との関わりを軸に描かれていたの
に対して、2012年のAKB48の足跡を追ったこの映画のテーマは彼女たちが
結成当初から目指していた「東京ドーム公演」と「絶対的エース」前田
敦子の卒業。
「エース」だけど前田敦子は高橋みなみや大島優子のような「リーダー」
でもなければ「人気者」でもなかったと思います。でもマイペースで
「アンチ」も多かった彼女が「センター」としてどれだけ多くのものを
背負っていたのかこの映画は伝えてくれています。大島優子が「二代目」
のセンターにつき、「次世代」メンバーが台頭があっても前田敦子の去
った後のAKB48が芯がぶれたコマのようによたよたしてみえるのは私だけ
でしょうか?
□「元AKB・平嶋夏海」の「その後」
前田敦子、高橋みなみとおなじ「初期メンバー」ながら彼女たちのように
スポットを浴びることなく、総選挙でも「3年連続26位」の珍記録をもっ
ていた平嶋夏海。昨年の「DOCUMENTARY of AKB48」の公開前に「不祥事」
を起こして「AKB48の活動を辞退」、あっけなく去っていきました。
その後も「スキャンダル」や「学業優先」による「移籍」や「辞退」は
続き、この映画の公開直前にも人気メンバー「峯岸みなみ」の「丸刈り」
騒動があったのはご承知のとおりでしょう。
私は個人的に「恋愛禁止」はつまらない茶番としか思えません。恋愛し
ようが、結婚しようが、ファンの声援があるならアイドルを続けられる
し、ファンが離れれば辞めるしかありません。
この映画では、「辞退」していった「元・AKB」にも暖かい目線があって
「元AKB・平嶋夏海」もインタビューに登場します。「デザインの勉強」
をしていると伸びやかな笑顔で語った「なっちゃん」はまだ20歳。芸能
活動は続けていくようですが、充実した学生生活を送ってほしいですね。
□「第二章」の行方
東京ドーム、前田敦子の卒業、活動辞退...頂点を極め、「芯」を失っ
たAKB48はかっての勢いを失なっていっているように思えます。正直私も
かっての興味はなく、秋元康たちの「クサイ」演出にも辟易。この映画も
見に行くのをよそうかと思っていました。
名古屋、大阪、博多、さらにジャカルタ、上海...AKBの「支部」は広
がっているけれど、その分「濃度」は薄まって尖がり度合いもすり減って
しまったと少し残念に思っていました。
でも、この映画をみて、素直に思いました。「やっぱりAKBはすごい。」と
恋愛禁止もクサイ演出もいただけないけど、彼女たちの流した汗と涙は、
昔も今もずっと変わらない。公演前の力強いエールも変わらない。
「第二章」の行方を2013年もみまもっていこうと思います。
※「おとゲー」2013/2/10号掲載

0