□「女神転生III」の「東京受胎」
突然、地鳴りと激しい振動が始まった。「東京受胎が始まったわ。」
祐子が振り向いて微笑んだ。「破壊の後、私は創世の巫女になるの。」
2003年に発売された「真・女神転生III-NOCTURNE」(「女神転生III」)。
老舗アトラスの「看板」というより「根源」ともいえる「真・女神転生」
シリーズ10周年の「集大成」。すばらしくハードルが高いという評判に
ビビッて私が手ににしたのは翌年発売された改訂版「真・女神転生III
-NOCTURNE マニアクス」。
冒頭、入院中の担任教師、祐子を訪ねた主人公たちが「東京受胎」の
天変地異に巻き込まれいくシーンからその独特の世界観にグイグイ引き
ずりこまれ、魅了されまくり。評判どおりハードな難易度に苦労しつつ
も100時間を超える「ボルテクス界」(「受胎」後、悪魔の世界に変異
した東京)の旅は今でも忘れがたい愉悦に満ちたものでした。
□「ピクシー」と「ベルゼブブ」
「へえ、見ない顔の悪魔ね。」少年の前に小さな妖精が現れた。
「あたし妖精ピクシー。あんた、あんまり強そうじゃないけどまあい
いわ。あたしが仲魔になってあげる。」
「女神転生」でバトルはプレイヤー本人といっしょに戦ってくれるパート
ナーは「ペルソナ」シリーズとちがって仲間となった悪魔=「仲魔」。
ちょっとおどろおどろしい「ポケモン」といったところでしょうか?
「女神転生III」で最初の「仲魔」になってくれるのが愛らしい妖精の
ピクシー。ちょっと小生意気な口調のこの「仲魔」のおかげでボルテクス
界の旅は楽しいものなりました。
当然ながら手強い悪魔との戦闘には強大な「仲魔」も必要。そんな高レベ
ルの仲魔の中でのお気に入りは「蠅の王」ベルゼブブ。ラスボス戦でも
レベル96まで鍛えたベルゼブブが力を発揮してくれました。
□「カオス」と「ロウ」の「コトワリ」
「私はマントラの無念を引き継いで、私のコトワリを開く。選ばれた
強者のための世界のために。」千晶は指についた血をペロリとなめた。
「あなたはどうするのかしら?」
「ロウ」=「安定と秩序のある世界」、「カオス」=「力だけを全ての
弱肉強食の世界」。「神」と「悪魔」の概念を象徴する「真・女神転生」
の根幹をなす考え方ですが、どちらか「正解」ということはなくてそれ
をプレイヤーの選択に委ねるのが「メガテン流」。
「ボルテクス界」でそれぞれの「コトワリ」を建てたかっての級友たちを
容赦なく屠っていく「女神転生III」の主人公の非情な生き様に畏怖をい
だきながらも惹きつけられますね。
そして「III」から10年、「IV」が今年の5月に3DSに降臨。前ふりがいさ
さか長すぎましたが、「真・女神転生IV」を次回からボチボチと語らせ
ていただきましょう。
※「おとゲー」2013/7/21号掲載

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