□「適格者」
「危ない!」コウの背後からグリードが襲ってくる。刹那、コウ
は無意識に空間から一振りの長剣をつかみだし、グリードを真っ
二つに切っていた。グリードをすべて倒すと二人は元の路地に
戻ってきていた。
「あなた、適格者だったの?」アスカが驚いていた。アスカに
よると実世界の裏側には一般人には感知できない「異世界」が
あって時に実世界に干渉し悪影響を及ぼす。アスカはそんな
「異世界」事件を扱う組織の敏腕エージェントで、最近頻繁に
「異世界」事件の起きる杜宮市に派遣されてきたのだという。
選ばれた「適格者」だけが「異世界」を感知でき、グリードと
戦う武器を扱える。「チャンス!」コウは心の中でつぶやいた。
これでアスカとお近づきになれる!
「適格者」の自分なら「異世界」事件の捜査を手伝えると
しぶるアスカに頼み込むのだった。
□アイドルグループ「SPiKA」
二カ月が過ぎ、コウはバイトと「異界事件」の調査で日々を過ご
していた。お約束のように学園内にはコウ以外にも4人の「適格
者」が見つかり「アスカ軍団」は次々と起こる「異界事件」を
解決していった。コウはなかなかアスカとムフフな関係にならず
ちょっとがっかりしていた。
翌朝登校すると「三周年ライブのチケット当選したぜ!」同級生
のリョータがはしゃいでいる。最近人気上昇中の5人組美少女アイ
ドル「SPiKA」のミニライブが月末に守宮市内を一望できるアク
ロスタワーのイベント会場で開催されるのだった。
実はコウも「SPiKA」の隠れファンで、ハルナ、レイカ、ワカバ、
アキラ、そしてリオンのDD(誰でも大好き)だった。以前着ぐる
みのバイトでハルナと絡んだことをがあるのが密かな自慢だった。
しかしライブは落選、コウは落ち込んでいた。
□「歌姫」リオンの失踪
メンバーのリオンは実はコウと同じ守宮学園の2年生。抜群の
歌唱力を誇り「歌姫」と呼ばれいた。もちろんコウもしっかり
チェック。でもいつも取り巻きがいっぱいでこちらもなかなか
お近づきになれないのだった。
「プルルル」、アスカからメールが入った。「SPiKA」のマネ
ジャーからそ相談を持ち掛けられたらしい。放課後アクロス
タワーにある事務所へコウははりきって向かった。
マネジャーによると最近「SPiKA」の周りで照明器具が落下したり
観客が失神したりなど原因不明の「怪事件」が頻発。「その筋」
からアスカの噂を聞き相談を持ち掛けたとのことだった。
「よろしくお願いします」同席していた「SPiKA」のハルナに
じっと見つめられコウの心はたぎるのだった。
その晩、「SPiKA」のマネジャーから連絡が入った。「リオン
と連絡がつかないんです。自宅にもどこにもいなくて。」
リハーサルに現れず、全く連絡がつかないと狼狽えていた。
「歌姫」リオンは失踪してしまった。。。
(「杜宮」の物語は次回へ続く)
※「おとゲー」2015/12/6号掲載
■関連記事
「東亰ザナドゥ」の「赤い裂け目」

0