2020/11/13
*主要キャラクター等
■創世の記憶 1:妙な夢
少年は代々木公園駅の改札をぬけた。携帯にメー
ルが入る。勇からだ。勇、そして千晶と待ち合
わせて担任の祐子の見舞いに行く予定だったが、
寝坊してしまった。昨日、妙な夢をみたせいだ。
東京が崩壊する、そんな突拍子もない夢だった。
新宿衛生病院。祐子はそこに入院している。美貌
で優しいと評判の教師で男子生徒の人気の的だ。
特に勇はベタベタをまとわりついている。少年も
気にはなっていたがストレートに感情をだせない
たちで、勇たちは気づいていないだろう。
■創世の記憶 1B:代々木公園
道に迷って代々木公園に出た。最近起こった事件
のせいか立ち入り禁止になっていた。見知らぬ
ロン毛の男がブツブツいっている。少年に気がつ
くと馴れ馴れしく話しかけてきた。
「えっ、君も新宿衛生病院に行くのか?」
男はオカルトライターのヒジリと名乗った。
「これも何かの縁だ。いいものをやろう」
渡されたのはオカルト系の雑誌「妖(あやかし)」
ヒジリが「ガイア教団の謎を追う」という特集記事
を書いていた。
「縁があったら、また会おう」
ヒジリはそういうとニヤッと笑った。
■創世の記憶 2:新宿衛生病院
「あっ、やっときたのね。」
病院の待合コーナーに座っていた千晶がいつもの
小生意気な調子で声をかけてきた。ただ妙な雰囲
気だ。
「この病院、ヘンなのよ。誰もいないの」
確かに患者も看護婦も、誰もいない。
「勇クンは高尾先生を探しにいったわ。キミも探し
てきてよ。こんな場所に長居したくないわ」
千晶の高圧的な声。
「その雑誌何? アヤカシ? ちょっとかして、暇
つぶしくらいにはなるでしょ」
2階の病室に勇がいた。
「オッ、今頃ご到着か? オレは別館の方を捜す
からそっちは地下の方をみてきてくれ。先生の
ことが気になるからな」
■創世の記憶 3:氷川
地下の空気はどんよりと澱んでいた。片端から
部屋を調べていくとある部屋から物音がする。
椅子に座っていた細身の男が振り向いた。
「誰だね、キミは?」
病的な青白い皮膚、射るような眼光。どこかで見
た顔だ。そうださっきヒジリからもらった雑誌で
みた顔、たしかガイア経幹部の氷川。。。
「邪魔をしないでくれ」
氷川の横には巨大な金属の円筒状の装置が回転し
ている。
「私は静かに最後の時を迎えたいんだ」
最後の時?
■創世の記憶 3B:「東京受胎」
思いついて屋上に向かう。いた、祐子がそこに
一人でただずんでいた。
「待っていたわ」
いつものような優しい声だった。
「もうすぐ東京は最後の時を迎えるわ」
最後の時?
突然、地鳴りと激しい振動が始まった。
「東京受胎が始まったわ。」
祐子が振り向いて微笑んだ。
「破壊の後、私は創世の巫女になるの」
振動がさらに激しくなり、空は暗黒に包まれてい
く。そして眼下の東京は、大きく湾曲していく!
「生きて、そして私に会いに来て。。」
祐子の声がしだいに遠ざかり少年の意識は混濁し
ていった。
(「創世の記憶」は、次回に続く)
※「おとゲー」2020/11/8号掲載
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