□「ジョハリの窓」
心理学やカウンセリングの用語で「ジョハリの窓」というのがあります。
自分について、
自分が知っている・知らない
他人が知っている・知らない
の4つの組み合わせをモデル化したもので、ジョセフ・ルフトとハリー・イ
ンガムという二人の心理学者が提唱したので「ジョハリ」になったのだとか。
4つの「窓」は、
公開の窓:自分自身も気付いていて、他人も知っているオープンな部分。
盲目の窓:他人には見えているけど、自分では気づいていない部分。
秘密の窓:他人には見せていない自分しかしらない部分。
未知の窓:自分自身も周囲の人も気付いていない部分。
一般的には、周囲とのコミュニケーションを進めることによって、「盲目」、
「秘密」の比重をへらし「公開」の部分を増やしていくことがよいとされ
るのでしょうが、ことはそんなに簡単ではありません。
□「ドリームバスター」の「夢の場」
宮部みゆきの「ドリームバスター」は、人の悪夢に忍び込んだ別世界「テラ」
の凶悪犯を16歳の少年シェンとごっつい師匠のマエストロ、二人の「ドリー
ムバスター」が退治する壮大なアクション・ファンタジー。
宮部さんならではの見事な世界設定、キャラクターの掘り下げと並んで興味
深いのが「ドリームバスター」が潜入する「DP(悪夢の被害者)」の「夢の
場」の描写。
「理恵子」はそんなDPの一人で、いつも他人の視線を気にしてオドオドして
いる気弱な女性。ところが彼女がたまたま目撃、証言した事件の被告が冤罪
を主張したことから彼女の「夢の場」は恐ろしい悪夢に変貌していく...
この「理恵子」の物語を読んでいて「ジョハリの窓」を思い出しました。
彼女の場合は特に「秘密の窓」と「公開の窓」のギャップが大きく、それ
を自分でわかっていながらがどうにもならない。強引な同僚の誘いにもノー
と言えない。そしてその葛藤が彼女をさらに追い込んでしまいます。
「理恵子」ほと極端でなくても4つの窓の境界をどこにおくかは難しい
問題ですね。「リアルな他人」と「自分」の中間に「バーチャルな領域
(ブログやメルマガ)」をおいてみるのも有効な手立てかもしれませんが。
※「おとゲー」2006//19号掲載

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