*注意:著しいネタバレを含みますのでこれから読まれる方は目をつぶって
箒にまたがってください(謎)。
□「ワクワク感」の復活
前々作「炎のゴブレット」が上下巻で1,139ページ、前作「不死鳥の騎士団」
がなんと1,362ページのチョー特厚。それにつれて物語はより陰惨になり、
初期のころにあったスピード感、ワクワク感を失っていきました。特に前作
の上巻のひどさは言語道断。読み通すには限りない忍耐力が必要でした。
そんなわけで「ハリポタ6」が出版されてもなかなか買う気になれず、つい
グズグズと先延ばしに。ようやく先週読み始めまたら...これがなかな
か、いやかなりいけてます。998ページに薄くなったページ数に反比例して
物語のスピード感、ワクワク感も復活。やっと「ハリポタ」が帰ってきた
感じで、一気に読み終えてしまいました。
□「ヴォルデモード卿」の物語
本作で特に興味深いのが、「悪の帝王」ヴォルデモード卿の過去の物語。
ダンブルドア(ホグワーツ魔法学校の校長で当代一の魔術師)とハリーは様
々な目撃者の「記憶」を「憂いの篩(記憶の追体験装置)」で再生して「悪
の帝王」が「トム・リドル」と呼ばれた少年・青年時代の軌跡を克明に追っ
ていきます。
裕福な貴族?の父に捨てられ、没落した魔術師の末裔の母は困窮の内に死亡、
孤児院に預けられたトム。誰に教わることもなく、自分のもつ特異な能力を
自覚しそれを操っていたトムは初対面のダンブルドアに言い放ちます。
「僕は特別だってわかっていた。」、と。
凡庸を軽蔑し、他人とは違う悪名高きものになりたがっていた少年が、ホグ
ワーツに学び、やがて誰もが恐れる存在になっていったこの物語は、「ハリ
ポタ」外伝として一巻にまとめてほしいぐらいですね。
□「ハリポタ」最終決戦へ
私のお気に入り、ハーマイオニーの登場シーンが多いのも嬉しい限りです。
女の子とイチャイチャするロンへの悪態のつきかたがなんともカワイイ。
(ハリーとジニーのロマンスはちょっとイジイジしていていただけませんが)
ホグワーツを卒業したロンの双子の兄、フレッドとジョージの悪戯専門店
のハジケぶりも相変わらずで笑えます。
ただひっかかるのがハリーの仇敵スネイプの扱い。「混血のプリンス」との
結びつきも唐突だし、ダンブルドアの絶大が信頼を裏切って、単純にヴォル
デモード卿の元に走ったとは考えにくいです。
さあ、いよいよ次は最終の第七巻。このスピード感とワクワク感を持続して
きっちりとしめてほしいものです。
※「おとゲー」2006/6/30号掲載

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