■エアリスの死
エアリスは死んだ。ティファとクラウドが「忘らるる都」にたどりついたと
き、エアリスは一心不乱に祈っていた。その願いは聞き届けられた、ように
ティファに思えた。
しかし...その時、背後に現われたセフィロスの刃がエアリスの体をつら
ぬいた。エアリスの小さな体は投げ飛ばされ宙に浮いた。ティファはエアリ
スが彼女のほうをチラリとみたように思えた。
クラウドの肩は怒りに震えていた。そしてティファには投げかけられる言葉
はなかった。
セフィロスは古代種の残した究極の黒魔法「メテオ」−宇宙に浮かぶ星を呼
び寄せ大地に激突させる−を発動し、この星を破壊しようとしていたのだ。
エアリスの亡骸を葬った一行は、雪原に消えたセフィロスを追った。
■魔晄中毒
これまで追っていたセフィロスはセフィロスの影だった。北の最果てのクレ
−タに復活した本体がいた。その力は圧倒的でクラウドはかなうことができな
い。取りつかれたようにセフィロスの方へフラフラと歩いていく。
「クラウド!」ティファが絶叫したとき、大地が崩れクラウドはその中にの
まれてしまった。泣き叫ぶティファをバレットは抱きかかえ、間一髪で脱出
に成功した。
クラウドがいないと何をしていいかわからない...自分はこんなにも脆か
ったのか?ティファは今さらのようにクラウドに頼り切っていた自分に気づ
いた。
1週間がすぎた。あきらめきらずクラウドの行方を捜していたティファの元に
南のミディールの海岸にツンツン頭の青年が漂着したという知らせが届いた。
ミディールの病院にかけつけたティファが見たのは重度の魔晄中毒におかさ
れ、廃人になってしまったクラウドの姿だった。
■決戦前夜
セフィロスに出し抜かれた神羅カンパニーも手をこまねいていたわけではな
かった。文字通り総力をあげてセフィロスに挑んだが、北のクレーターを覆
うバリアーに阻まれていた。その間にもセフィロスが発動したメテオの脅威
は迫っていた。
ティファはつきっきりでクラウドを看病していた。なぜかクラウドと再会し
て以来、最も平和な気分だった。車椅子でクラウドを散歩に連れ出そうとし
ていると大地が激しくゆれティファのからだは宙に投げ出された。
「ティファ、大丈夫か?」クラウドが手を伸ばしている。クラウドは全てを
思い出したのだった。
元凶であるセフィロスを倒せばメテオは食い止められる、そう確信したティ
ファたちは仲間を募り、北に向かうことにした。幸い神羅カンパニーの必死
の努力でバリアは消えていた。
セフィロスとの決戦の前夜、ティファとクラウドはずっと夜空の星をみあげ
ていた。あの日のニブルヘイムの夜空のようだ、クラウドの肩にもたれなが
らティファはボンヤリと思っていた。
■ティファの幸せ
セフィロスとの決戦から2年の月日が流れた。ティファたちの活躍とそして
エアリスの想いが通じてこの星はメテオの災厄を免れた。2年前の爪あとは
まだあちこちに残っているものの、人々は平和を取り戻していた。
ティファはミッドガルにほど近いエッジをいう町で暮らしている。クラウド
はまだふっきれていないようだけど、運び屋をして元気にしてる。「ストラ
イフデリバリーサービス」ってちょっとダサいけど...二人の仲はあまり
進展していない。「あの女」の思い出のせい?でもあたしは思い出なんかに
負けないからね。
「エスプレッソはまだかぞ、と」赤い髪の客が催促する。タークスのレノ
たちもちょくちょくティファの店に顔を出してくれる。
「ハイ、ただいま!」看板娘の声が店内に柔らかく響いた。
<了>

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