今回は20代の頃にあった出来事を書きます。
僕は競輪が大好きで、ギャンブルの中でも
一番理にかなっているのが競輪で、なおかつ
ギャンブルの醍醐味を凝縮させたものが
競輪だと思っている。
その競輪に友達4人で、行ったが全員負けて
しまった。
誰かが勝てば、みんなで呑みに行くことに
なっていたが、負けてしまっては、どこにも
行くことができない。
その時、1人が俺のアパートにくれば、金は
あるから、部屋でみんなで呑まない?と有り
難いことを言ってくれた。
早速、みんなでその友達の部屋に行き、酒を
買いに行こうとした時、友達の彼女だっていう
女性が訪ねてきた。
最近、付き合い始めて、部屋に来るのは初めて
だったらしいが、なかなか可愛い子だった。
その彼女が、お酒だったら私が買ってきてあげる
と 気がきくこと言う。
友達は彼女に、お金を渡し「ついでに、つまみも
買って来てくれ!それから買う酒の銘柄は○○
以外の酒を買うんだぞ! ○○は俺の口に合わな
いから、絶対に○○以外の酒だからな!」 と
何度も念を押していた。
「わかった!」と言い、買いに行ったが戻ってきた
彼女の手には○○と書かれた一升瓶を持っていた。
友達は、呆れたように「何度も何度も、これ以外の
酒を買って来てくれって言っただろう!」と強い
口調で言うと彼女は「ごめんなさい、私、お酒の
ことは全然知らなかったから!」と泣きそうに
なっている。
「買ってきちゃったものは仕方がないよ、じゃぁさ
熱燗にして呑むから、酒を熱燗にしてきてくれ!」
と言うと 彼女は「熱燗って何?」 って聞く。
友達は「熱燗知らないのかよ! 酒を、お湯のように
熱くして呑むんだよ!」 そう言うと 彼女は
また泣きそうな顔をして 一升瓶を持って 台所に
行ったが 「ガスって どうやって火を着けるの?」
と 聞いている。
「お前はお嬢様か! それともお前の家は まきで
お湯を沸かしてるのか!」と 友達は台所に行って
ガスのつけ方を教えていた。
4人でコタツを囲んで競輪の話で盛り上がっていると
彼女が「お待たせしました」と言いながら 湯呑みに
に入った熱燗を四つ持って来てくれた。
よし! 乾杯しよう! でも今日の場合は完敗の方
の完敗になっちゃうな! と冗談を言いながら
みんなで一斉に熱燗を呑んだ。
ところが、一口も飲まないうちに 呑むのをやめて
みんなが 彼女を見た。
友達が「お前、どうやって熱燗にしたの?」と聞くと
彼女は堂々と「だってお酒をお湯のように温かくして
呑むんでしょう? だから やかんでお湯を沸かして
その中に お酒を入れたんだよ!」と言っていた。
僕は「お前はバッ・・バカか!」と怒鳴りそうになった
が、友達の彼女に 怒鳴るわけにもいかない。
友達は「俺がやる!」と言い 半分になった酒を熱燗に
していた。
残った酒を呑んでいたとき、泣きそうな顔をしていた
彼女に「何か つまみも買って来たんだろう? それを
出してくれ!」 と友達が言うと 彼女は素直に はい
と 小声で返事して台所に行った。
しばらくして今度は「あつぅ!」という声が聞こえてきた。
「どうしたの?」と友達が聞くと「ヤケドしちゃった」と
彼女が言っている。
友達が心配そうに見に行ったが「お前って、本当にバカ
だな!」 と呆れている。
僕も立ち上がって見に行った。
そして見た瞬間、爆笑してしまった。
火のついたガスコンロの上に置いた金網には、封の切って
ない缶詰が 四つ並んでいたのである。
友達は 慌てて その缶詰を水で冷やしていた。
その時には、彼女も泣きながら笑っていた。
友達が「酒が台無しになったから、もう一本酒を買って
くれ! つまみは スルメでいいからな!」と言うと
彼女は 急に笑顔になり「はい!」と元気よく返事して
名誉挽回とばかりに 出かけて行った。
4人で「あの女を どう思う?」「先が思いやられるぞ!」
「でも貴重な存在だよな」「あそこまで、ひどい女はいな
いよな!」とか言いながら呑んでいた。
そこに彼女が戻ってきた。
しかし彼女を見た瞬間、友達は急に怒り出し「お前なんか
すぐに出て行け! 二度と来るな!」とわめいていた。
それもそのはず、彼女が持っていた一升瓶は○○だった。
みんなで友達をなだめすかして、また呑み始めた。
僕は彼女に、「スルメ買って来たんでしょう? 少し
火にあぶって 彼氏に出したら 喜ぶよ」と言うと
気を取り直したのか、台所に行った。
しかし気になる! 彼女が台所に行って、うまくいった
ことが何もない。
僕は台所に行って ガスコンロに火をつけて 弱火にして
金網を乗せて その上にスルメを乗せてから、彼女に
スルメが焦げないようにして、時々ひっくり返して
出来たと 思ったら持ってきてね! と言い席に戻った。
しばらくしてから 彼女は あぶったスルメを皿に
乗せて持ってきた。
やっと、いつものペースで酒を呑めれると思い、みんなで
競輪の話をしていた。
ところが何か様子が変なのである!
1人が「なんか臭くない?」と言い出した。「うん、なんか
臭いよな!」「ガス臭いな!」「これはガスの臭いだ!」
4人で一斉に立ち上がって 窓を開けて 台所に行った。
見事に」ガスコンロから シューという音と共に
ガスが吹き出ていた。
彼女に問い詰めると「だって どうやって火を消したら
いいか、わからなかったから 新聞紙で パタパタって
風を送って 火を消した!」と言っていた。
唖然! としたが 僕たちはもう少しで 全員死んで
いたかもしれなかった わけである。
全員一致で彼女を帰りのバス停まで 連れて行った。
友達はバスに乗るのを見届けるまでは帰れないと
怒り心頭だった。
部屋に戻って呑んでても、怒りはおさまらなかった。
しかし、いくら独身だといっても、ここまで物事を
知らない女性も少ないでしょうね!
でも、この話に後日談がある。
友達が言うには、それから何回も彼女から電話が
あったらしいが、会うことは避けていたそうだ。
ある日、友達が実家に行って、実家が飼っている
犬を散歩に連れて行こうとして、外に出たとき
自分の実家を知らないはずの彼女が家の前に
立っていたんだそうだ。
友達は驚いていると、彼女は何も言わずに近づいて
きて、犬の前に座り込んで、犬を褒め始めたそうだ。
「可愛い犬だね!」と犬の頭を撫でながら「名前は
なんていうの?」と優しく言ったらしい。
友達は、少し気味悪く感じたらしいが、犬の名前を
彼女に教えたそうだ。
すると彼女は、すごい形相で友達を睨みつけて
「アンタに聞いたんじゃないよ! 犬に聞いたんだよ!」
って言われたそうだ!
僕は思いきり 爆笑してしまった。
僕は、もし結婚してなかったら、この彼女に交際を
申し込んだかもしれない(笑)
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