僕の知り合いにKという男がいる。
そのKとは古くからの友達であるが
若い頃は そんじょそこらのワルと
違って 筋金入りのワルだった。
今では 背中に立派な絵が描かれて
いる。
そのKが、或る日急に金回りがよく
なった。
どうしたんだろう?と思っていたが
それから一週間ほどたって 朝起きて
新聞見てたら そのKの 顔写真が
大きく載っていた。
笑うに笑えなかったが 思わず笑って
しまった。
3年ほどある施設に強制収容されたが
そんなことで更正するような男ではない!
しかし そこの上部組織の分裂騒動が
あってから 脱退して自分で仕事を
やりだした。
その頃は 儲かったらしいが 今は
遊んでいると言っていた。
そのKに 今日会った。
これから書くことは Kが言ってた事です。
Kが後輩の家に行こうとして 歩いていると
近くに停めてあった車から 男が降りてきて
Kに話しかけてきたそうだ。
男 「すみませんが、ちょっといいですか?」
K 「急いでるが なんの用だ?」
男 「実は 高級時計の卸問屋で営業をして
いる者ですが、注文を受けて商品を用意
したけど キャンセルされて困ってます。
会社に持って帰っても自分でお金を払わ
なきゃならないから、少しでもお金に
したいんですよ! 卸値の半額でいいから
買いませんか?」
そこまで聞いたら誰でも詐欺だと分かると思うが
Kにしたら 面白くないわけである!
自分が詐欺の対象になってることが許せないKは
一芝居打つことにしたそうだ!
K 「じっくり時計を見たいから これから行く
家に 遅くなることを連絡するから・・」
と言って男の前で後輩に電話した。
K 「もしもしKですけど、今近くの○○の前に
いるんですが、お金がないから時計を買って
くれっていう気の毒な方がいるから 少し
遅れます」
Kも後輩も 海千山千 そんな電話があれば どう
いうことなのか すぐに理解する。
K 「せっかくだから、持ってる時計を全部みせて
もらいましょうか?
もし気に入ったら 全部買いますよ!」
男 「本当ですか? すぐに持って来ます」
男はすぐに持って来たそうだ
K 「いくらなの?」
男 「一個、5000円でいいですよ」
K 「ちょっと明るい所で見ていい?」
男 「どうぞ!」
Kは時計が何個か入っていた箱を持って 車道まで
行って その箱を車道に置いたまま戻って来た。
男 「ちょっと、何するんですか!」
男は慌てて 箱を取りに行った。
車につぶされたら商売にならなくなってしまう。
K 「ごめん、ごめん 最近物忘れが激しくって
すぐ忘れちゃうんだよ」
男は 自分が とんでもない男に時計を売りつけて
いることに気がついたのか 逃げようとしたが
遅かった。
そこにはKの後輩が乗った黒塗りのベンツが横付け
されていた!
男 「すみませんでした」
K 「なんで謝るのか わからないな」
男 「どうすれば許して頂けるでしょうか?」
K 「そうだな、 さっき俺が車道に置き忘れたように
お前も 置忘れっていうこともあるだろう?
お前が 時計を置き忘れて行ったら 俺が一応
置き忘れてるぞ! って声をかけるけど お前は
聞こえなかった振りをして帰れば いいんだよ!」
男 「じゃ、ここに置き忘れて帰ります」
まるで 漫才でもやってるような会話である。
しかし詐欺師も とんでもない男に声をかけて
しまったよね!
まぁ、どっちもどっちだけどね!
路上で そんなふうに話しかけられたら 気をつけて
くださいね!
二束三文の商品を高く売りつけられるだけですからね!
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