日曜日に 行きつけの居酒屋のマスターが出演する クリスマスコンサートがあったから観に行って来た。
僕は一番前で観ていたのだが 驚いたのは マスターは楽譜を見ながら バイオリンを弾いていたにもかかわらず 今、自分がどこを弾いているのか わからなくなって 曲を中断して また最初から やりなおしていた。
ファミリー的なコンサートだから 何でもあり的な考えなんだろう!
居酒屋のお客さんや 知ってる人も多く来ていて けっこう楽しいコンサートだった。
コンサートが終わってから 居酒屋の常連さん達と呑みに行くつもりだったが 僕は撮った写真のチェックをしていて 気がついたら 常連さん達がいなくなっていた。
もしかしたら置いてかれちゃったの? と思い 外に出た。
(置いてかれちゃったと言っても老いて枯れちゃったっていう意味じゃないですからね!)
僕は捜すのが面倒だったから 一人で呑むつもりで 帰り道にあった居酒屋に入った。
客は二人しかいなかった。
カウンターに座って呑んでいると 若い男が入って来て 客の一人に 「遅れてすいません! 急に話って何ですか?」と言っていた。
雰囲気から察すると 会社の上司と部下の関係のようである。
日曜日に呼び出されて気の毒に! と思い 僕は二人の話に聞き耳を立てていた。
「とにかく まず呑もうよ! 話はそれからでいいから」 と若者にビールをすすめていた。
しばらく呑んでて 若者は用事が何なのか 気になったのか「話って 何ですか?」 と聞いていた。
すると上司は急に小さな声になって「実は君に関する変な噂を耳にしたんだが 本当かどうか確かめたかったんだよ!」 と声は小さいが聞こえてきた。
若者が「どんな噂です?」 と聞くと 上司は小声で「君はホモらしいじゃないか」と言っていた。
若者は「とんでもないですよ! 僕はホモなんかじゃありません!」と強く否定していたが上司は「何も隠すことはないじゃないか! 誰にだって秘密はあるからね!」と白状させようとしていた。
若者は「僕はホモじゃないです!」と何度も何度も否定していたが上司は「僕にだけは本当のことを言ってくれないかな?」 と無理に若者をホモに仕立てようしているかのようだった。
最後に上司は「僕は独身で一人で住んでるし家もすぐ近くだから よかったら僕の家で話さないか?」 と若者を誘っていた。
当然 断るだろう と思ったが若者は「わかりました」と言って 上司と店を出て行った。
二人が店を出ると同時に 僕ともう一人の客と店のママさんと三人で 大笑いしてしまった。
きっと上司の方がホモで 上手いこと言って部下を家に誘い込んだに違いない! と三人の意見は一致していた。

5