去年だったかな? 空からおたまじゃくしが
降って来たっていう記事を新聞で見たことが
あった。
そんなことがあるわけがない! って思うけど
新聞に載ってたから 嘘ではないのだろう。
僕は そんな不思議な経験はなかったが 一度
だけ 隕石を見たことがある。
家の近くを歩いていた時、突然、上空を何かが
飛んでいくのが見えた。
しかも肉眼で確認できるほど低空だった。
それは鉛色で煙が出ていた。
全く音もなく飛んでいったから 凄く不思議な
気持ちになったことを覚えている。
その時、こんな物が民家を直撃したら大変な事に
なるし 落ちたところが人の多いところだったら
と気になった。
翌日、新聞にはオレンジ色に光る物体を見たという
目撃情報が多数寄せられたという記事が載っていた。
さらに 後日それは隕石で名古屋から100キロは
離れている岐阜県の山に落ちたという記事が載せら
れていた。
あんな低空だったのに あのまま100キロも
飛んで行ったのかと驚いた。
僕も見たのは ほんの一瞬だったから かなりの
スピードだったのだろう。
これから書くことは もう4年ほど前のことだが
その頃、僕は車中泊しながら 放浪していた。
いつもは道の駅の駐車場とかで寝てるのだが
その日は 山の中にいたから 適当な場所を
探していた。
一つの集落を過ぎて 山道を登りかかった所に
車が停めれるスペースがあったから そこに車を
停めた。
そこから狭い道が 山へと続く道があったから
その道をバックで入って そこでビールを呑んで
いた。
夜だったし 誰も来る心配のない所だったが
知らないうちに 車の前に白いシーツがかか
っていてフロントガラスに覆い被さっていた。
僕はビックリして 車から降りてそのシーツを
取り払って またビールを呑んでいた。
しかし考えたら おかしな話である。
誰もいないし こんな所にシーツがあるはずがない。
ちょっと気味が悪くなってきた。
この時、ちょっとしたイタズラを考え付いた。
僕は車から降りて そのシーツに紐を結びつけた。
そしてそれを道路の向こう側の木に引っ掛けて
紐の先をこっち側に持って来て 車が通るのを待った。
僕の中では 車が来たら 直前を得体の知れない物が
突然横切る それで運転した人を驚かそうというつもり
だった。
そして車が来たから、思い切り紐を引っ張った。
シーツは思った以上に 道路を横切ってこっちまで
来た。
僕は木の陰から運転手の反応を見ていた。
しかし その車は すごいスピードでバックして行った。
ちょっとやりすぎちゃったかな? と反省したが
きっと これから この辺りには幽霊が出るっていう
噂が広まるんじゃないかな? と思い1人で笑っていた。
それから また車の中で酒を呑んでいた。
そして 眠ろうとして横になってウトウトした時に
何かの音が聞こえて来た。
さっきの運転手が なんだったのか確かめに来たのか
な?と思ったが 人声はしない。
そして また 眠ろうとした時 今度は明らかに車を
叩く音がした。
やっぱり さっきの運転手が来たんだ と思い
ドアを開けて 外に出た。
しかし誰もいないし 人の気配もない。
僕は気のせいだったんだと思ってまた 眠ろうとした。
だが今度は車の屋根を叩く音がした。
これは聞き間違いではない! はっきりと聞こえた。
また車を降りて 確認しようとしたが、誰も見当たらない。
手の込んだイタズラをやり返してるんだと思い 僕は
しばらく車の外にいた。
しかし妙なことに気がついた。
あったはずのシーツがない!
紐はあるのにシーツがない!
段々と気味が悪くなってきた。
人を驚かそうとして 自分が驚いていたんじゃ
シャレにもならない。
また車の中で寝ようとした時、車が揺れた。
一瞬、地震かと思ったが 誰かが車を押している
感じだった。
僕は車の窓を開けて「わかった!わかった!
俺が悪かったよ!」と言ったが 何の返事もない。
また車を降りて 見えない相手に話し掛けたが
何の反応もない。
しかし この時 車が勝手に少し動いた。
僕はビックリして 慌てて車に乗り込んで
ブレーキを思い切り踏んだ。
だが今度は車が横に揺れた。
これは 誰かがやってるんじゃない! そう直感
した僕は 慌てて車のエンジンをかけて その場
を離れた。
次の日、明るくなってから その場所に行ってみた。
車を停めて 歩いてその場所まで行ったが特に
変わった様子はなかった。
しかし驚いたことに そこから少し奥に入った所に
お墓がいくつもあった。
さらに驚いたことには そのお墓の一つに
白いシーツがかかっていた。
僕は思わず そのお墓に向かって 手を合わせた。
ビックリしたけど、むやみにイタズラは
するもんじゃないですよね〜。
ランキング

8