
未来予知の能力を持つ圭史をキーマンに、連作短編5作からなるオムニバス作品です。
母が勧めてきたにしては、えらく穏やかな作品でした。
タイトルからも重く緊迫した内容を想像していましたが、どちらかと言うと心癒される優しい作品。
5作品とも主人公もストーリーもバラバラなのですが、それぞれにまあまあ面白く、ファンタジックな部分もそんなに派手ではなく、それなりにリアルに書き込んでありました。
ストーリーとしては、2話目の「時の魔法使い」と3話目の「恋をしてはいけない日」が良かったのですが、圭史の地味なキャラクターがとても魅力的だったので、彼が多く登場する1話目の「6時間後に君は死ぬ」と5話目の「3時間後に僕は死ぬ」が好きでした。
ただ、圭史が「いい人」すぎて、5話目での彼や主人公の女性の行動に納得できず、なんだかモヤモヤ。ストーリーがすっきりまとまったのが救いですが。
全体を通して、一生懸命頑張らなくてもいいし、失敗してもいいし、貧乏でもいいよ、というちょっと珍しい視点が、とても新鮮で素敵でした。
この作品はドラマ化もされました。
配役はあまり知らない人ばかり。
圭史は「吉岡秀隆」がイメージぴったりだと思うんですけど。

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