去年の今日も同じように暑かったのを憶えているのは、実家で飼っていた音鼓という名前の綺麗な白猫が天に召された日だからである。オレが10歳、小4のクリスマスにウチに来てから18年も生き、去年の今日、息を引き取った。その前日まで実家に帰省していて、オレが東京に戻るのを待ってくれたような形になり、単なる偶然かもしれないが、大昔から猫には何か特殊なモノがある、と言われ続けたのが納得できるような出来事だった。父の知り合いのケーキ屋さんのペルシャと日本猫のハーフで、生クリームに似たのか、真っ白で綺麗だった。最期の頃はやせこけて粗相をしていたが、父が使っていたベッドの下で静かに死を待つ姿の中にも品が感じられ、さすがだなぁ、と思ったものだ。ただ時々苦痛なのか呼吸困難なのか苦しそうに鳴いて、さすってあげることしかできず、せつなかった。美人だったから顔パスで天国へ昇り、寝たり食べたり遊んだり雄猫をフッたり、あるいは父の膝の上に抱かれているかも知れず、あの世というのは想像もつかないくらいイイトコだ
と歌われるくらいだから心配はしていない。音鼓が大好きだった生クリームのショートケーキが食べたくなってきた。おわり。


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