六月二十七〜二十九日。兄の結婚披露宴に出席の為、帰省。入籍そのものは昨年済ませていたが、向こう方のご家族の喪の関係等もあり、この時期になったみたいである。ウチの家族の中で、こういう宴は初の事、どうして良いかわからず母も姉も俺も、少しまごつく。たぶん、親戚の叔父さんあたりが各席を回遊して酒を注いで回ったりして、一番近い身内の我々はじっとしていれば良かったのだろうけど。うろうろしてしまった。兄は、親父の跡を継いで和楽器職人であり、兄のお嫁さんは、東京芸大を出た、琴の演奏家、プロである。しかし、冗談しか云わないようなウチの阿惚家族にすぐにスッと馴染むことの出来た、非常にユーモアのある御方であり、且つしっかり者であられるから、何の心配も無い。しっかりと兄を引っ張ってくれるだろう。オメデトウゴザイマス!さて、こんなにメデタイのに、俺の左足の小指が大変な事になってしまった。傷口から菌が侵入し、化膿。帰省の最終日の午前中、近所の皮膚科へ行く。塗り薬、飲み薬を処方してもらう。薬を塗り、ガーゼを当て、短
い小指と薬指に包帯を巻き、さらに靴下を履くものだから、仕事用のタイトな靴がギュウギュウで履けない。勤め先で履く為のゴムサンダルを今朝、近所で買う。菌の温床であるムレを防ぎ、一刻も早く治さなければならない。しかしまぁ、包帯がうまく巻けず難儀する。病院では看護婦さんが非常にスマートに巻いてくだすったのに、自分ではまったく再現できない。危うく遅刻するところであった。手足の指が他人より短い方で、足の小指に至っては、もはや豆みたいなもんだから、そりゃ巻きづらい。早く慣れたい。いや、慣れる前に治したい。梅雨だから、大変である。足の小指は非常に大変なことになっているが、昨日はK嬢が素敵なものをプレゼントしてくれた。昭和中期の、子供用の、ブリキの、ラッパ類である。先日のゲーム博物館の10円ゲーム機同様に、俺の大好きなチープ且つビビッドな、アートを超えた向こう側の世界である。嬉しくて、プープー鳴らす。ジャズのスタンダード、テイクファイブを早速、波止場(にいるつもり)で吹い(たつもりになっ)てみる
。感度良好。黒人達の築き上げてきたブルーズのヴァイブスが俺を震わせる・・・。波止場(実はリビング)にはいつの間にか、ジャズメン上がりの黒人米兵達が集まってきていた。みんな、頬に涙という音符を一杯にこぼしていやがる。勿論、それらの音符を初見で吹いてみせる。奴らはそれぞれ持ち寄った楽器を奏ではじめた。俺とジャムろうってのかい?MPがスッ飛んできて、営倉に叩き込まれちまうんじゃないのかい、フォークス?俺の心配を、「か・ま・わ・ね・ェ」とイカしたフレーズで返事してきやがった。その晩、ハマの波止場を練り歩きながら、いつまでもいつまでも演奏した。東の空が明るみ始めるまで・・・。えっと、実際は、プープープー、キャッキャッキャ!という光景だったのですが。かわいいブリキペットは、いずれ写真を載せよう。K嬢、ありがとう!おわり。


0