昨日。仕事アガり、新宿へ。原宿の、舶来洋服店という合戦場から、戦い終えて帰ってきた妖精ちゃん達と、黒船の歌姫ちゃん、身体のあちこちに折れた矢や刀が刺さったまま、片手に持つホラ貝もボロボロである。手には戦利品の数々。最近できたばかりでTVでも話題の店。廉価にてとにかくいろいろ変わったモノが売っているらしい。女子にはこういう楽しそうな店があり羨ましい。そこでの武勇伝を聞きながら、和パスタの美味い店で食事、ビールも飲む。「長い槍の部隊には難儀した」、「大将格と刄を交え互角、最後にはお互い刄こぼれして馬を降りて素手での取っ組み合いになり、手習いの合気道で組み伏した」、「織田軍の鉄砲隊には腰を抜かした。織田は天下を獲る器じゃのう」等、独占・女武将の90分なトークにただただオレは「んだ、んだ」、「たまげた」、「たいしたもんだ」等と相槌を打つばかりで、辺りは杭だらけになった。そんなジャンヌ・ダルク達と楽しくお喋りしながら、美味過ぎるパスタに目を回し、あるいは目を回し過ぎて床におっことして、慌
てて拾って眼窩に当てがったら「おほほ、お前、それは目じゃなくてスーパーボールでなくって?」「おっと、近くにたまたま落ちてたのと間違えちゃったい。誰だい、こんなとこにスーパーボールを置いたいたずら坊主は?」「このおっちょこちょいのすっとこどっこい、おたんこなす!」「もっと罵って!」「知らないっ!糞(フン)っ!」等と、アーバンな会話を交わしながら、夜は更ける。素敵な給料日でした。今朝。マイケル崩御。本当に存在したのか判然としないような夢のような人(人ですらないかも知れぬ)だったので、したがって、彼が亡くなった、という実感も沸かない。シリーズものの映画やおとぎ話が完結した感じだね、とK嬢と話す。ダースベイダーとか、ミッキーとかエルモとかジェイソンとか、アメリカエンターティンメントが作り出した、一つの傑作のような気がしないでもない。復帰間近だったけど、以前のように踊れなかったかもしれないから、引き際としては良かったのかもしれない。ただ、踊れなくても、スキャンダルが無くても、あり余る音楽の才
能を活かして、じっくり聴かせるような次のステップの作品があったかもしれないならば、それはぜひ聴きたかった。歌、踊り、曲、すべてにおいて、人間の領域を超え、ついでにカルキン君のカル金君をまさぐってしまうようなスキャンダラスな色々もあり、小さい頃から、まともに生きる道を閉ざされ、芸と夢の彼方に生き、謎につつまれ、誰も彼の真実を知ることが無いまま、空へ帰っていった。やはり、本当に実在する人間だったのかどうかわからない。彼が与えてくれた奇跡のような素晴らしい歌と踊りと曲だけが、心に焼き付いているのは確かである。さようなら、キング・オヴ・ポップス!おわり。


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