鋼鉄の馬にまたがった妖精ちゃん達が雷鳴と共にステージに舞い降り、開口一番「みなごろし!」「ぶっころしてやる!」とシャウトすると、群衆は一気にヒートアップ。ヒートアップしているのは会場の外でも同様で、「MEKTに天罰を!」「改めなさい」等のプラカードを掲げた、キリスト教の過激な宗派のシュプレヒコールが木霊している。ボーカルの妖精Cがデスヴォイスとハイトーンヴォイスを悪魔的に使い分けながら、呪術のような歌声で歌い、鋲を無数に打ち込んだアコーディオンを振り回す妖精Mは、鍵盤をむしり取っては、最前列の餓鬼どもに投げ付けている。彼女達の下僕であるせむしの小人男は生け贄の鳩を殺めて返り血を撒き散らして悪魔に捧げている。アコーディオンを完全に破壊し尽くした妖精Mは何かが憑依したように卒倒し、妖精Cは最大の見せ場である、熱々のみたらしのタレをオーディエンスにお玉でぶっかける行為を遂行し、ずんどう鍋に残ったすべてのみたらしを自らおっかぶって、何かを呻きながら倒れた。時計の針が反対に
廻っていた戦慄の時間から解き放たれた会場は歓喜につつまれ、プレーンの団子を片手にみたらし目当てに集まった銀座のハイソなル●ンペン達も、そして逆に悪魔に魅せられて改悛したキリスト教過激派の面々も、刺激に飢えたキッズ(彼らは決まって裕福なホワイトカラーの子供たちである)も、手を取り合って涙している。皆、声を揃えて「ビバ、MEKTちゃん!」の大合唱。一介のロックライターである私も、仕事を忘れてモッシュの輪に加わった。ヘッドヴァンギングのやり過ぎで鞭打ち必至、明日の仕事は休みにするとしよう。ありがとう、MEKTちゃん!格好好かったぜ!おわり。


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