1月8日。
東高円寺UFOCLUBにて、ムッシュかまやつwithザ・トランプ。
14時に、UFOCLUB近くの練習スタジオに(勿論、ザ・トランプ
の面々だけネ)集合、音出しをする。
かまやつさんには昨年末に一回スタジオ練習に来ていただいた。
珍しい事らしい。著書にも書いておられたが、セッションのように、
その場の空気を観て自由に演奏するのがお好きみたいで、御本人も、
ぶっつけ本番の緊張感が集中力を生む、それがいいんですよ、と仰
っていた。ジャズ喫茶やTV生本番で鍛えられた方の、重みある一言
である。でも、プロってそういう事だよなぁ、たぶん。
2時間の音出しを終えて、何が起こるかわからない緊張感を持った
まま会場入り、会場でのサウンドチェックを行う。若手のホープ、
グライダーや、本当はお客として観たいハッチハッチェルさんの
ステージも、気を揉んでいるせいでじっくり堪能できず。
まぁ、しょうがない。
かまやつさんは出番直前に会場入りすると言う。いつものような
カオスな楽屋では、さすがにマズいと思い、最低限、御本人とマネ
ージャーさんが座れるスペースを確保すべく、片付けた。
そして御本人登場、ご挨拶もそこそこに、本番の時間。
時間ですヨ〜っ!なんて言えるワケも無く。
我々だけでインスト1曲やって、いよいよ、かまやつさんステージへ。
スパイダースのキュートなガレージロックナンバー、ヘイボーイ。
お客さん達と大合唱になって、さすがにウルっと来た。
オレがダ☆ヒップスというバンドでGSナンバーを中心にやっていた時
に、最初にやったスパイダースの曲がヘイボーイだった。あれから10数
年経って、とにかくその曲を作った張本人が隣で歌っている。
そして同じようにスパイダースの事を大好きなお客さん達が一緒に歌っ
ている。クラクラしました、一瞬。
あと、パッとステージ上で考えたのが、こうやってロックンロールは
脈々と続いて行くのだろう、という漠然とした事である。
しかし、浮かれている暇は無く、ガンガン突っ走り続けるかまやつ
さんのペースに必死について行かなければならず、とにかく無我夢中
であった。
スパイダース、かまやつさんのソロ作品、洋楽カヴァーを織り交ぜ、
10曲あまり。
アンコールはバンバンバン。
エンディングを何度も繰り返す、というかまやつさんの粋な即興アレン
ジで、会場が盛り上がる。
5回くらい繰り返したので、同じ事を弾いても芸が無い、と思い、弾く
のを止して、あのダンスを踊った。尭之ではなく、順・井上の気分で。
なんとかステージ終了。
ヤードバーズが、ハウリンウルフやマディウォーターズとステージを
やった時のような気持ち、と自分では解釈している。オレがジェフベッ
ク、という意味ではなく、かまやつさんが偉大なブルースマンのような
存在、という意味である。
ゴチャゴチャ言ったりする必要は無いだろう。シンプルに、素晴らし
い体験が出来て嬉しかった、という事につきる。
良い意味で、何とも言えない体験であった。
まだ頭の中が整理できていないのかもしれない。
最後に、今回の事で、ゴロワーズの歌詞の意味を再考する機会を持つ
事ができた。かまやつさんがあの曲を発表したのは、丁度、今のオレく
らいの齢のころのはずだ。昔はわからなかった部分が、多少わかるよう
になった気がする。
おわり。

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