2013.05.27、ビルボード東京にてジョルジオ・モロダー日本公演(2ndステージ)を観に行ってきた。
座席はカジュアルエリアの中央席、機材も含めてブースを見下ろす感じで、一挙手一投足を全て観る事ができた。神様を上から見下ろすのはいささか申し訳ない気がしたけれど。
最初はクリス・コックス氏が一人で、クイーンのレディオ・ガガのリミックスからやり始めた。メトロポリス関連からのスタートである。オレを含めたクィーン好きは悲鳴を上げていた。
10分くらい経って、いよいよモロダー御大がステージに現れた。人差し指でリズムに合わせてノるような仕草は、ドナ・サマーとミキサー卓の前でプレイバックを聴いている映像の中の仕草と同じだった。
そして、ヴォコーダーでの自己紹介。彼がヴォコーダーに向かう姿を一度でいいから拝みたかったから、激しく興奮。鳥肌立ちまくりでございました。
繋ぎやセンド・エコーの操作は基本的にコックス氏がやっていたが、フェーダーとEQ、フィルターはモロダー御大がいじる場面が多かった。74歳のエレクトロディスコのゴッドファーザーがヘッドホンしてフェーダーをいじる姿が絵になり過ぎてシビれた。フィルターを使った手法は、数十年前にシンセサイザーのカットオフの開閉でほぼ同じような事をやっていたんだ、と思うと、やはり凄い。ハンドクラップや電子音を仕込んだパッドを曲に合わせて叩き、時々はフェーダーの一気下げで客に歌わせたり…それをやった後にオンビートに戻れなくて、お茶目な仕草で顔を覆う姿に会場にいた全員が萌え死にしそうになっていた。
ヴォコーダーで歌うシーンも多かったが、鍵盤の素養が非常に高いことをうかがわせる流暢さだった。彼がファーストソロアルバムでギターを弾いている事や、それ以降の曲でもギタリストに優しいキーが多いので、ギタリスト出身かな、と考えていたのだが、鍵盤の流暢さからすると、優れたマルチプレイヤーなんだな、と思った。
さてステージでは、90年代にテクノサイドから再評価されるきっかけとなったエレクトロディスコの他に、ネバーエンディング…とかフラッシュダンスのテーマも披露していた。彼は大人のディスコシーンばかりではなく、ハリウッド映画のサントラでもって我々80年代ガキんちょ世代のハートをガッチリ掴んでいたのである。ディスコ、映画館、金曜ロードショーのお茶の間。彼の音楽界へ与えた影響が立体的に見えた瞬間であった。
興奮の時間はハイパーに過ぎ去り、公演は終了。しかし何と、グッズ購入者にはサイン&握手会があるという。事前に知っていればレコード持って来たのに…!と悔しがりながらも売店でビルボードのマグカップを買った。
ドッキドキで待つこと30分くらい、遂に御大が目の前に。もう、松尾伴内扮する日本兵くらい直立不動であります。マグカップを買ったものの、パンフにサインをいただき、あのムーグのツマミを捻った手で握手をしていただき、一緒に写真を撮っていただき、ちょっと信じられない時間だった。別に夢でも構わない、とさえ思った。彼の作る曲のように、未来都市を飛びまわっているかのような現実感の無さ。
ステージを後にする際に彼が「シー・ユー・ネクスト・フューチャー」と言った(少なくともそう聴こえた)から、オレも拙い発音でそう言ってみた。通じたかどうかは不明だけど。
嗚呼、まだ夢みたいだ。
おわり。


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