水曜。渋谷でブッカーをされているTさんにお誘いいただき、久々のDJ。
Tさん、Yさん、Iさんとは不定期イベントで何度かご一緒している。皆さんポリシーはキチンとお持ちだが、穏やかで価値観の過度な顕示も無く、いつも居心地が良い。モノの愉しみ方にもいろいろあるけれど、オレの好きな愉しみ方の一つである。初対面のNさんは7インチにこだわった方で今回は80’sに絞っていらっしゃった。好きな曲もかかり、気分は盛り上がる。
さて、自分の出番。かなり久々のプレイで少しあくせくして、思っていたような流れにはできなかったが、今回の為に購入した3枚は回すことができた。まぁ、プレイはともかく、みんなで楽しく過ごせたので、その点は良かった。帰宅して、セットリストなるものを書き出してみた。流れの悪さをわざわざ図示してどうする、とも思ったけれど、SNSに載せる事で次に機会があった時に遊びに来てくださる方がいるかもしれない、との思い。
木曜。予備として休みを取っていた。あいにくの天気だったけれど、先月から気になっていた日暮里駅近くの古くてデカいアパートを観にいった。線路沿いにドーンドーンと、2棟並んでいて、古びたトタンの外壁とは裏腹に結構な大きさ、砂上の楼閣とは違うけれど、雨の景色の中に異彩を放ちながら浮かんでいる。正面玄関に回ると、昭和モノの映画に出てきそうな共同の入り口がヘヴィに待ち構えていて、息を飲む。当たり前だが、住人の方がいらっしゃるので写真を撮るのは気がひけるパターンだったが、撮る。雨も手伝って、この上ないほど寂しくてメランコリックな風景だったけれど、iPhoneのカメラでは道が狭くて全体像を収めるのが難しく、歯痒い思いをする。小高い丘の上にあるから、2棟の間の中庭の向こうには、線路の向こう側の、雨煙にボヤけた遠くの景色が見えて、その向こうっ側の鉄筋のビルヂングとこちらの世界がまるで異世界に思えた。油断すると、何か、どこかへ持ってかれそうな感覚に陥り、つまりはオレの思う絶景の要素は多分にあった。けれどめこういう時には大概、性感帯が肥大しているから、現実以上の何かが見えているものだけれど。
そのまま、三河島の方へ歩いてみる。戦前より前、関東大震災以前、という事は多分、江戸時代から変わってないんじゃないのか、と思わせる区画。まるで迷路である。或いは蟻になった気分とでも言えば良いか。場所柄、町工場と韓国料理屋が多い。野良猫も多かった。雨が薄っすらと降っていてこの数だから、天気の良い日にはウジャウジャいるのかもしれない。晴れた日に行ってみようかな。
そうこうしているうちに、暗くなってきて、気温も低いし、どうしようかな、と思ったが、電車に乗って、ハイ、バイバイってのも素っ気ないから、ダラダラ歩く。途中、尾久のあたりで、買い取った本やレコードを未整理でブチまけている古本屋があり、店内通路をも塞ぐ未整理っぷりに入るのを躊躇うが、でもやるんだよマインド発動につき、突入。まぁ、愉しくないとも言えない。しかしあまりに膨大な散乱物に総てを見ることは諦め、1969年の明星を買って帰った。2000円也。安くはないが高くも、ない。密林に迷い込み疲労したので、都電に乗り、いろいろ乗り継いで帰宅。いつもそうだが、ふと我に返り、何やってんだ、みたいな休みだった。楽しかった。おわり。


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