最近読んでいる本は、赤松啓介さんの「非常民の民俗文化」という本である。近代になっても、戦前くらいまでは、ムラの風習が残っている事があったらしいが、この本はその中でも夜這いとか性の話ばかりになっている。民俗学といえば柳田氏であるが、赤松氏は柳田派のアカデミック且つ綺麗事ばかりの民俗学にアンチを唱えている。学者さんが村の代表みたいな人に話を聞いたところで、他所様に漏れて都合の悪いようなシモの話なんかするワケない、と仰っている。これはその通りだと思う。そして、893、宮様、性についての言及をしない柳田民俗学に腹を立てていたのだとか。かっこいいぞ、赤松さん!赤松氏は、まだかわいい若い衆の時分にフィールドワークして、おばさんを中心に聞き取りをしたという。あまり警戒されずに、アケスケに話してくれたそうだ。まぁ、この人も、熱くなる余りに偏った著述がみられ、その点は批判されているらしいが。でも、アカデミックな人達が眉をひそめるような御下劣な事とか、タブーな所を避けていては本質は見えてこない、という赤松氏のポリシーは素晴らしいし、暴走してるあたりもイカしている。
欧米の宗教観に根差した思想を形式だけ当てはめてしまった近代化と戦争の雰囲気が、日本の文化をいろいろと変えてしまったのは、事実のようである。その事については功罪どちらもあるだろう。そうやって翻弄され続ける我が国がもどかしくもあり、好きでもあるのだけれど。おわり。


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