昨年の丁度、今日。ザ・ゾンビーズのオープニングアクトのステージだった。夢のような経験だったから、記憶が幻の断片のようで、お伽話にさえ感じる。
オープニングアクトの話自体は、リーダーのYっさんが持ってきた話で、個人的には何と言えば良いのか、本当に突然に舞い降りて来た出来事だった。
本番前1週間は、兎に角ゾンビ漬けであり、緊張と、浮き足立つ感じと、誇り高く背筋が伸びる感じが同時に来て、もう既に夢の中に突入していたからだろう、秋の気候も手伝って風景は色セロハン越しのように綺麗に透き通り、やけに空気の匂いが強調されるような気がして、この感覚は本番の後、また1週間ほど続いた。
本番の日、ゾンビーズのメンバーを最初に見たのは、ライヴハウスの入り口だった。コリンがタクシーから自分の衣装を手に持って降りてきた。大柄な、まさにコリン・ブランストーンその人なのであるが、背景はカーナビーストリートでは無く、高田馬場でしかなく、高田馬場と早稲田は学生時代にもうほとんど住んでいたようなもので、酒を飲んだり、レコードを買ったり、エッチな事を考えたり、まじめに悩んだり、エッチな事を考えたり(2回目)、ともかく目に焼き付いた背景にポップの巨人が張り付いていたので思わず2度見したものだ。…当日の事を書き始めたら、その時の日記とダダ被りなので、やめとく。
本番の次の日、休みを取って、新宿のはずれをあてどなく果てどなく歩きながら、ゾンビーズやコリンのソロを聴いた。とにかく何事にも代え難い甘美な時間だった。いま、ゾンビーズを聴きながらこの回想を書いているけれど、やはり陽射しや匂いをその場にいたかのように思い出す事ができる。あ、アイズレーのカヴァーがイヤホンから。悶死。おわり。


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