暮れも押し詰まった。この時期女房がごそごそ掃除に動き回るので亭主は居心地が悪い。
特に大晦日は身の置き場が無いので毎年ゴルフに行くことにしている。女房から期待されていないろくでなし亭主を誘って大晦日にゴルフをするのは亭主関白の証であるとほざきながら心の片隅でどこか後ろめたい気分も味わっている。実際手伝う気持ちはあるのだがやりだすと却って邪魔になるからどこかへ行ってくれと言われる。困ったものである。
私に言わせれば平素ちゃんと掃除をしていれば何も大晦日に大掃除をやる必要は無いはずである。第一人間は多少の埃や塵や汚れで死ぬものではない。空気中には数千万、数億の細菌、ビールス、ダニが飛び交っているし、体の中にも数万、数億の細菌や寄生虫を抱えている。目に見えるか見えないだけの違いだから気にしていたら生きてゆけない。
日本人は確かに清潔好きである。民度が高い証拠だがちょっと行き過ぎだと思う。ほぼ毎日入浴するし若者は毎朝シャンプーを欠かさない。ヨーロッパでは入浴は週1−2回でそれもシャワーである。途上国では川で水浴びする程度である。我々は自分の体を清潔にする代わりに水資源を浪費し、洗剤で川や海、土を汚していることになる。
日本ではハエや蚊が一匹いるだけで大騒ぎとなるが途上国では子供の眼や鼻に数十匹のハエが群れている。路上でスイカの切り売りをしているがところどころ黒いのは種だと思っていたら皆ハエだった。子供たちが路上で排泄する大便には常に回虫がいるが誰も気にしない。寧ろ合成食品、環境ホルモン、薬剤等に汚染されて寄生虫も住めなくなった日本人の体の方が彼らより汚いと言えるのではないかと思う。私は大掃除が嫌いである。

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