義父母が半年の間に引き続き他界した時遺産整理を手伝った事がある。昔の人は勿体無い精神が身についているから中々物を捨てられないらしく、不要な物がどっさり出てきた。最後は裕福な資産家だったが貧乏時代の古着や下着まで大切にとってあった。仲には穴の開いたラクダの股引や黄色に変色したパンツまであったから女房は恥ずかしがっていた。それ以来私は折を見て身辺整理をするようになった。背広、ネクタイ、ワイシャツは滅多に着ないから安いものから順番にどんどん捨てて十着程度残っただけである。せーター、
スポーツウェアー、ジャンパー、オーバーコートも高級品以外は皆捨てた。下着や靴下も草臥れた物は処分した。もう何時死んでも恥をかく心配は無い。今更見栄を張っても仕方が無いと思うが、子供や孫に爺さんは碌な物を持っていなかったと思われたくない。
私のお袋は几帳面だったから私の学生時代の成績表や試験答案、絵画や習字までそっくり残してくれた。膨大な量なのでこれも整理した。通信簿はオール5のもの6点、答案は100点満点だけ、絵画、習字は三重丸のみ残して後は捨てた。明らかにインチキである。
子供や孫は爺さんは大変な秀才だったと感心する事だろう。
人間は幾つになっても見栄っ張りで浅ましいと痛感した。

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