またぞろ腹の立つ記事が夕刊に載った。 岡山の自動車整備業者が三年間で4000件もの車検を何の整備もせず書類だけで通し、陸運局の抜き打ち検査もみすみす見逃していたという。おそらくこれは氷山の一角で、同じような不正が全国的に行われていると思われる。料金を相場より2万円安くしていたらしいが、それでもペーパーに書くだけでがっぽり稼げる、濡れ手に粟の美味しい商売である。整備をしなくても検査は通るし事故にも繋がらないと言うことは元々車検が不要であることを証明している。整備業者だけにその辺は良くわかっているのだろう。
そもそも車検制度は大昔日本の自動車の品質、性能が劣悪で、整備を怠ると事故に繋がることから、交通安全上の必要性から発足したものである。今や日本車の品質、性能は世界一で新車ならオイル交換、ブレーキ、バッテリー、タイヤ点検を欠かさなければ少なくとも5年間は何ら整備は要らない。中古車もタイヤ、ベルト、ブレーキパッド、バッテリ^を交換する限り4−5年は問題ない。それを新車は3年、中古車は2年ごとに車検を義務つけて所有者に膨大な負担を強いているのは、とんでもない悪政である。
アメリカには車検制度は無いしドイツやオーストラリアはあっても経費は日本の十分の一程度で極めて軽微である。若し2年ごとに10万円以上もかかる車検制度を導入すれば忽ち国民の間で暴動が起きて政権の一つや二つは吹っ飛ぶだろう。
数年前日本でも規制緩和の目玉として車検制度を見直し、新車は5年、その後は3年に延長する方針だったが、橋本元総理が反対して潰してしまった。彼は守旧派族議員の典型であり、運輸、郵政、厚生族の親玉としてあらゆる構造改革に逆らってきた。総理になってから橋本六大改革を掲げたが、ジェスチャーだけで行政改革など元々やる気が無かった。
橋本氏は宇野氏と並んで戦後最悪の首相だったと思う。彼のお陰で景気回復は3年遅れたし、構造改革は5年は遅れた。唯一の功績は橋本派を率いて派閥の面倒を見ず、人心も離れ結束を乱して、旧経世会を弱体化したことだけである。彼は官僚や業界から陳情や要請を受けると男気を出して直ぐ動き、結果的に国民の声と正反対の政治活動を行った。
さて車検制度を続ける大義名分に国交省は交通事故から国民を守る為だと常にのたまうが余計なお世話だと言いたい。車の整備点検は全て自己責任の下にやるべきことでアホ馬鹿官僚なんぞに心配頂かなくて結構である。国民の安全の為とは真っ赤な嘘で、実は車検制度に群がる、公益法人、特殊法人が無数にぶら下がっており、国交省、や警察OBの美味しい天下り先となっていることが段々ばれてきた。そして車検費用の中の重量税が道路特定財源となって道路族の貴重な財源であることも、期間の延長、や廃止に踏み切れない原因だと思う。この上は所有者が怒りを結集して一斉に車検を拒否し、ステッカー無しで乗り続ければ警察も手が回らなくなって、野放しになり政府も車検廃止に動き出すだろう。
考えただけでも愉快になった。

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