岡崎市の69歳の女性ホームレスが金銭強奪が目的で襲われ殺害された。犯人は4人組の少年だと見られている。他にも数人のホームレスが同じ場所で少年達に襲われたと証言している。余りの卑劣さに暗澹たる思いがする。金銭だけが目的なら選りによってホームレスを狙わないと思うから、これは弱い者虐めが主たる動機だろう。この事件に現代青少年の苛め問題の本質が垣間見える。即ち全ての苛めは卑怯さの成せる業だと思う。
夕刊の読売寸評に良いコラムが載っていたので引用させていただくが、[国家の品格」を書いた藤原氏が父の作家、新田次郎氏に卑怯を憎む心を徹底して教えられたという。
「弱いもの苛めの現場を見たら、身を挺して弱いものを助けろ」、「見てみぬ振りは卑怯だ」、「弱いものを救う時には力を用いてもいい」と教えられたそうである。但しこれには5つの禁じ手がある。一つ大きい者が小さい者を打ん殴っちゃいかん、二つ大勢で一人をやっつけちゃいかん、三つ男が女を打ん殴っちゃいかん、四つ武器を使っちゃいかん、五つ相手が泣き、謝ったら直ぐ止めなくちゃいかん、と教えられたと著書に書いてあるという。流石新田次郎氏でこの父にしてこの息子ありである。私はホンダで藤原氏の実弟と同僚だったから、親父さんのエピソードは聞いていたが、ご母堂の藤原ていさんの方がより厳しかったそうである。
私が子供の頃は男の子が卑怯と呼ばれる事を最大の恥としていたように記憶している。だからこそ苛めも少なかったのだろう。この少年達は上記五つの禁じ手を全て犯しているから卑怯な事この上なしである。早く逮捕して厳罰に処して欲しい。
それにしても何故日本人が大人も子供もここまで卑怯になったのかはやはり戦後教育に起因する事大だと思う。昔の教育は寺子屋での読み書き算盤と家庭での躾けであった。特に武士階級は論語や朱子学を幼少の頃から叩き込み、漢籍の教養に加えて道徳、倫理、社会規範を身につけさせた。庶民の読み書きも手本が良かったから、知らぬ間に人の道が身についたのだと思う。武士道の基本は恥を知る事であり、一番の恥は卑怯であった。
明治維新が成功したのは優れた官僚達のお陰である。薩長土肥の藩閥政府ではあったが官僚達は恥を知る教養人だったから、現代の官僚とは大違いである。
教育の建て直しはやはり昔に戻って読み書きパソコンに重点を置き、国語と倫理道徳を徹底して教えた方がいい。入試問題も下らぬ詰め込み知識を省いて、人品骨柄を問うような問題に変えた方がいい。そうなれば東大法学部卒の高級官僚は、教養豊かで、使命感に溢れ、恥を知る人材ばかりになるから、日本は素晴らしい国になるだろう。丸で夢物語みたいで自分で書きながらアホくさくなってきた。

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