昨日のダービーで64年ぶりに雌馬が優勝した。何でもダービーに雌馬が勝ったのは戦前、戦中に2頭いるだけだと言うから快挙である。本場のイギリスのダービーでも227回の歴史の中で雌馬の勝利は6回だけだった。日本の女権社会化を象徴する出来事だと言うのは爺さんの僻みで大袈裟である。然し雄が雌に勝る最期の砦が筋力だと思っていたが、それも負けるようではもう男権主義は止めたほうが良さそうである。
雌馬のくせにウォッカと名付けられたくらいだから余程男勝りなのだろう。ダービーで牡馬に勝つにはじゃじゃ馬でなければなるまい。
さて周知の通りウォッカはロシアの蒸留酒でアルコール度数が50度近い強烈な酒である。北欧にもアクアビットと言う強い蒸留酒があるが似たようなものである。どちらも簡単に火がつくほど強い。共産時代のロシアでは何の娯楽も無いから生活の憂さを晴らすにはウォッカは不可欠だった。それと飲まずに居られない寒さの所為もあるだろう。
私は市場調査のためモスクワに約一カ月出張したが、自動車のサービス網について調べた。ロシア製の自動車は良く壊れるし部品が不足しているので修理待ちの車で山を成していた。順番を繰り上げてもらう為にはウォッカの差し入れをするのが必須であり、何も差し入れないユーザーの車は逆に部品を剥ぎ取られて何時までも順番が回ってこないと聞いた。確かに修理工はウォッカを飲みながらちんたらやっていた。
当時のソ連邦政府はロシア人からウォッカを取り上げれば生産性は倍増すると懸命にウォッカ退治を試みたが何の成果も無かった。国民がウォッカで酔い潰れたくなる様な圧制と、夢も希望も持てない灰色の共産社会を押し付けておいてウォッカを飲むなと言うほうが無理である。
果てさてダービーとウォッカには元々何の関係も無い。つまらない事を書いた。

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