政府は社保庁全職員17000人に6月賞与の5%から50%を自主的に返上するよう要請すると言う。首相、官房長官、厚労相もボーナスの半分近くを返上するとあるが。けちな事を言わずにいっそ全額返上のほうが格好いいと思ったが、議員歳費分も返上するのは公選法に定める寄付行為の禁止に触れるため出来ないそうである。全体の返納額は精々10億円と見込まれているが正に焼け石にお湯である。
中央官庁職員のボーナスの自主的返上は多分世界に例が無い事と思う。先に地方自治体の裏金問題に絡む自主返上はあったが、これは明らかに税金の横領だから返すのは当たり前である。然し社保庁の年金記録漏れの失態は、一部保険料を横領したコソ泥を除けば単なる仕事上のミスであり職務怠慢だから、ボーナス返上を促すのは少し無理があるように思う。寧ろグリーンピア等で膨大な保険料を無駄使いして被保険者に多大の損害を与えた事に対する賠償として過去の職員にも遡って弁償させると言う大義名分のほうが筋が通ると思う。特に悪質なのは保険料をネコババした職員であり、これは徹底して追及して返還させると共に刑事罰に処すべきである。次に悪質なのが年金福祉事業団等の公益法人を渡り歩いて二重三重に退職金を手にし、旨い汁を吸った連中である。この連中にも不当な所得を返還させなければ公平を欠く。大半の下っ端職員は真面目に勤め、それほど美味い汁も吸えなかったと思われるからボーナス返上は気の毒な気もする。然し自治労に護られて楽をしてきた結果、とんでもない無責任で非効率で自堕落な組織にしたのは結局自分たちの責任だから、ボーナス返上も止むを得ない事かもしれない。労使協定で一日5000文字以上の入力は出来ない事になっていると言うから酷い話である。5000文字入力なら2−3時間で終わりである。爺さんのブログの一本指入力のほうがまだ重労働である。
こんな労働協約条件上の制約があれば、台帳の移し替えや名寄せの入力要員に大量のアルバイトを雇って任せるからミスが出るのは当たり前である。漢字の名前をカタカナにする時本人に確かめもせずに適当にやればデータがいい加減になるはずである。因みに歌手の井上陽水さんは芸名をヨウスイと名乗っているが本名はアケミと読むそうである。アルバイトなら間違いなくヨウスイと入力した筈だから、ご本人は記録漏れになっているに違いない。
公務員の不祥事の影には常に自治労がある。旧国鉄労組と同じで煮ても焼いても食えない獅子身中の虫である。幹部は労働貴族でいかにして楽をして多く貰うかしか考えない。大阪市の職員組合がどれほど理不尽な要求ばかりして市の財政を危殆に瀕するまで追い詰めたかを観れば、自治労の本質も良くわかる。要するに等しく国民の敵である。
労使交渉と言っても公務員の場合は使用者も公務員であり、お互い税金を食っている同業者である。使用者側も自分の懐が痛むわけではなく、税金で払うだけだから、労働者側の要求にほいほいと応える。手当てを上げ、労働環境を改善し、時短に応じれば自分達も得をする。こんな馴れ合いの出来レースを止めなければ、自治体は皆明日の夕張市になり、日本自体が破産する。公務員の労働条件を審議するのは自治体や省庁ではなく国民を代表する国会の場であるべきである。尤も国会議員にも官僚出身者が多いし自治労や全逓出身者も居るので必ずしも国民を代表しているとはいえない。
社保庁の問題は偶々官公庁の体質と公務員気質が集中して噴出してきただけであって、他の省庁の本質も似たようなものである。従って単に社保庁を解体したり公務員改革法を施行するだけで日本が良くなるとは思えない。公務員天国に終止符を打つにはそろそろ自民党政治と決別して、御破算で願いましてはでやり直すしかないように思う。そのチャンスが今夏の参院選である。

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