世界の航空便市場に自由化の波が押し寄せているが、国交省の姿勢は相変わらず頑なで時代遅れでピン呆けである。長い間成田と羽田を国際便、国内便と峻別してきたが、成田の拡張が大幅に遅れたためにやっと羽田にも国際便が認可されたのはそれほど昔の事ではない。過激派学生による成田闘争や、地主の反発で約20年間も一本足滑走路と言う歪なままで放置され、成田空港は国際競争力を失い、アジアのハブ空港を韓国、香港、中国シンガポールに取られてきた。これだけでも国益を損じた国交省の罪は重い。成田がもたもたするならさっさと羽田重視に切り替えていれば良かったのに、どうでもいい際内区分の原則に拘り続けてきた。やっと羽田が引き続いて拡張され年間発着回数が三万便も増えたのに、認可条件を羽田から2000KM以下の路線に勝手に絞っている。2000KMでは精々上海までで北京すら届かない。況やこれからの重要便になるインドやオーストラリアやアメリカも届かない。一体何を考えているのかと腹が立つ。国交省は何もしなくてもいいからせめて国の発展の邪魔をするなと言いたい。
国交省の理不尽な態度には二つの背景があると思う。ひとつは自ら推進してきた地方空港の拡充が大失敗に終わる恐れが出てきたことである。大分空港、関西空港、神戸空港、まだ建設中の静岡空港等々、甘い需要予測で巨費を投じて造った空港の採算性が全く取れず近い将来のお荷物になることが明らかになってきた。確かに地元の要請や政治家の圧力があったのは認めるとしても、航空行政を束ねる国交省の最終判断が鍵である。この失政を補う為に2000KM以下にして、地方空港への便を増やすつもりらしいが、国際化のオープンスカイ構想に逆行する政策であり、世界の失笑を買うだろう。
もうひとつはかって運輸省傘下の特殊法人であった日本航空の経営が行き詰まっている事である。今も半官半民体質が抜けないJALの国際競争力は極めて弱い。このままオープンスカイで全てを解禁すればJALは多分生き残れない。民営の全日空が着々とリストラをして実力をつけているのに比べて、JALの改革は遅々として進んでいない。国交省はJALを守る為に要らぬ規制を導入したり撤廃すべき規制を残したりしているが、これこそ角を矯めて牛を殺す愚策であり、国益を損なっている。彼らの発想は日本の航空行政をどうするかよりも、天下り先の多いJAL関連会社を生き残らせることが第一である。
道路行政でも小泉改革で無駄な高速道路は造らないとして、全総の計画14000キロを9400キロに圧縮したのに、国交省内ではいつの間にか14000キロが生き返っている。先に冬柴国交相が暫定税率を10年間延長して59兆円の道路特定財源を当てにしてその使途は既に決定済みだと抜かした。国交省は道路特定財源という既得権益を私物化して、官舎を建てたり娯楽施設を購入したりしている。
国交省は厚労省、農水省と並んで巨大な利権を有する三悪の一つであるが、どうしようもない役人の上にどうしようもない大臣が座ったのではもう救いようが無い。自公連立政権がどうなろうと構わないが早急に内閣を改造して冬柴大臣だけは一刻も早く更迭して貰いたい。あの豪そうな馬鹿面を観る度に反吐が出る。
ガソリン国会は絶対に民主党が有利で国民は皆暫定税率廃止に賛成するだろう。知事会は維持を訴えているが、地方の経済は公共事業に頼っているから直ぐ道路を要求する。
然し長い目で日本の将来を考えれば目先の仕事より、健全な財政がより重要であり、特定財源や特別会計はなくしてゆく必要がある。

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