輸入小麦の価格が4月から30%値上げされる事になった。つい最近も10%上げたばかりである。第一生命経済研究所の試算では所帯当たり年間3000円強の負担になると言う。中国、インドの経済発展で小麦の需給が逼迫したのが最大の原因で、続いてオーストラリアの旱魃、バイオエネルギーにとうもろこしが利用されるようになって小麦からとうもろこしに作付転換する農家が増えたこともあるだろう。日本の小麦の自給率は10数%に過ぎないから、今や価格より輸入量の確保に追われている状態である。今後も益々儒給がタイトになりそうで更なる値上げは避けられそうもない。パンと麺食いの爺さんには頭が痛い。
日本で自給率100%の食料は米だけになった。米の需要は年々減って減反にも関わらず古米、古古米が増える一方である。小麦の値上げを切っ掛けに、この際日本人の食生活を米飯主体の時代に戻すことを国家的目標にするべきである。
日本人の食生活を米主体から小麦主体に変えたのはアメリカの長期的陰謀だったと言う説が有力である。日本が戦後の食糧難の時代にアメリカ政府は小麦粉を無償援助してくれた。それ自体は有り難い人道的支援であり、それで子供の給食を続けられたから飢えずに済んだと言える。一般に子供の頃の食生活が大人になっても影響する。パンや麺に慣れた子供は大人になっても米だけには戻らなかった。アメリカ政府がそれを計算していたとすれば確かに陰謀である。
一部では既にパンを米の粉から作っていると言うし、麺もビーフンが売られているが飽く迄例外的である。米で造った餅が美味しいのだからパンも美味しい筈である。東南アジアの麺は殆どビーフンやフォーであり実に美味い。スパゲッチーや中華麺、日本ソバを除けば米粉で代替出来ない小麦粉メニューは無いように思う。問題は米粉普及の政策である。輸入小麦の卸価格は政府が統制しているのだから何とでも調整できる。製粉メーカーに米粉への転換を促す政策は幾らでも取れる。国民に対しては小麦粉から米粉に切り替えることによって日本の農業を守り、美しく環境に良い水田や棚田を維持できると言う一大ムーブメントを展開すれば良い。先ず給食をライスか米粉パンに変えることである。日本人は日本農業や環境保護のためと言うキャンペーンを張れば皆協力を惜しまない。
農水省は米に700%もの関税を掛けて世界の失笑を買い、EPAの締結を妨害してまで米作農家を保護し、減反政策と補助金で国際競争力を失くさせ、要するに悉く政策を誤ってきた。農水官僚と農水族議員は頭の悪い連中ばかりだと言わざるを得ない。そのトップが故松岡農相や、赤城農相だから推して知るべしである。下らぬ事を考えずに爺さんのアイデアを聞いて米粉普及に全力を尽くせば日本農業は復活できる。

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