中国のインターネット掲示板では自衛隊機の中国派遣に反対する意見が続出する一方で、感謝、歓迎を示す意見も多数寄せられていると言う。現時点ではどちらかに一気に傾く状況ではないと言うから、当局も受け入れるだろう。民族主義的傾向が強いサイトでは「狼を部屋に入れるようなものだ」とか「被災者は困っていても日本のテントは不要」とか「軍用機は駄目だ。国の尊厳を捨てるな」とか結構厳しい。他方ニュースサイトでは「恨みは一先ず措け、今は救援だ」とか「狭隘な民族主義を脱して大国の風格を持て」と言う全うな意見もある。
此処で考えるべきは中国のネット世論が中国人全体の声をどれだけ反映したものかと言う事である。先ずネット掲示板に投稿する世代は若者が大半だと推察される。彼らは例外なく激しい反日教育を受けて育ったに違いない。次にネットの利用者が平均より遥かに高い教育水準にあり、都会の住民だろうと言う事である。パソコンや携帯電話を持っている人もほんの一握りのエリート階級だと思われる。そんなエリートの多くが共産党幹部の子弟か、経営者の子供、あるいはエリートビジネスマンだと見て間違いないだろう。つまり現状の体制下で最も恵まれている極少数の人々であろう。従って彼らが民族主義的愛国心を持つのは当然の事である。当局の指導方針に忠実に従い、お仕着せの歴史観と歪んだ世界情勢と捻じ曲げられた情報に踊らされている以上偏狭な愛国心になるのは無理も無い。その中に猛列な勉強によって正しい歴史や世界情報を把握し、中国の現状を客観的に評価し、共産党一党独裁に疑問を持つ超エリートも居るはずであり、彼等の意見が所謂大人の意見である。当局に睨まれるから控え目ではあるが健全な批判精神の持ち主だと思う。全うな意見の殆どが彼等のものだろう。
ネット利用者は多分10%以下だろうし、超エリートに至っては1%も無いだろう。中国国民の9割以上は日本からの支援を単純に歓迎してくれると思ったほうが良い。
被災者が5000万人に喃喃とする自然災害は半端ではない。復旧には気が遠くなるほどの時間と労力とお金が必要になる。簡単ではないから、何れ政府当局への不満が噴出して、胡錦涛体制を揺るがす事になると見ている。面子に拘っている場合ではない。貰えるものは何でも貰わないと足りない。豚などの家畜だけでも100万頭は死んだと言われているし、死体放置こよって悪質な感染症が発生するだろう。日本の軍用機であれ何であれ、揉み手をしてでも助けを請うべきである。
このブログを書き終えて夕刊を取ってきたら空自機派遣が見送られたと出ていた。中国政府が世論の反発から受け入れに難色を示した為だと言う。代わって民間のチャーター機を使うと言うが、全く人騒がせな話である。軍用機だ民間機だと贅沢を言っている場合ではない。摩擦が起きてまでやる話ではないと政府は言うが、軍用機の活用のアイデアを出したのは向こうである。何でもネットサイトで緊急世論調査を実施したら反対が賛成を10ポイント上回ったと言う。その程度で断るとは情けない。当局の見解を堂々とサイトに発表して反対意見は間違っていると言うべきである。
天に向かって唾を吐くとはこの事であり、自分がやった反日教育の成果が回り回って結果に出ただけである。ネットでの反政府論を削除するのはお手の物なのに反日論だけ尊重するとは何事か。それも前述の如くネット世論は中国世論とは絶対に同じではない。
いっそ日本政府も当局に対して支援物資は自分の軍用機で取りに来いと断るべきであった。日本人は中国の軍用機が飛来したくらいで少しも騒がないところを見せつけてやればよい。小日本と馬鹿にするが小さいのはお前だろう。

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