2億円の宝くじを当てた42歳の女性が3年前から行方不明になっていたが、殺人容疑で逮捕された51歳の知人の男の自供により、容疑者が借りていた倉庫の近くの畑の中から遺体で発見された。被害者の預金口座には4000万円しか残っていないと言うから金目当ての殺人だろう。噂では両人は男女関係にあり、宝籤が当たる前から容疑者は100万円を借りており返済を巡ってトラブルがあったという。男は電子部品の組立工場を経営していたが上手く行かず酒癖と女癖が悪かったと言う。その癖スナックのママに入れ込んで大金を貢いでいたというからどうしようもない男である。然しそんな男に貢がせるスナックのママは大したものである。やはり女の方が騙しでは男より一枚上手である。
典型的な三面記事であり余り興味を引かないが、大金を手にした中年のバツイチ女性が最低男に引っ掛かったばかりに全てを奪われた末路が哀れでならない。女性は2億円全額を現金で受け取って持ち帰ったそうだから用心深くて他人を信用しないタイプのように見える。それが最も信用出来ないタイプの男に引っ掛かって2億円の事も洩らしたとすれば、正に恋は盲目であり人間の業としか言い様が無い。テレビ報道に依ると男は偽の100万ドル札を見せてアメリカで事業をするから投資すれば高率の配当をすると騙したらしい。
被害者は2億円を当てて後会社を辞めたが、借家に引越し自動車も100万円程度の軽を注文していたと言うから質素に生きる心算だったのだろう。心情を思うと実に哀れである。
昔アメリカの富籤を当てた人たちのその後を追ったレポートを何かの本で読んだ記憶がある。アメリカの富籤は日本の宝くじと違って桁違いに高額である。衝撃を受けたのはレポートの結果は殆どの人が哀れな末路を辿った事だった。何しろ一生使い切れないほどの大金だから先ず例外なく豪邸を建てて高級品を買い漁り、豪華旅行やパーテーに明け暮れて最初の3年ほどは幸せな日々を送ると言う。その内贅沢にも飽きてくるとふと自分は一体何をやっているのかと疑問を感じ、鬱になって絶対の孤独に陥ると言う。仲間は金を集りに集まるが、自分を尊敬し愛しているからではなく、やっかんで軽蔑しているに過ぎないから人間不信に成ると言う。第一自分が世の為人の為に貢献したから大金持ちになった訳ではないから自分に対してプライドが持てないのが一番辛いらしい。うつ病が進行して自殺を図った人も2人居たと言う。
幸福になるための三つの要件は金と時間とプライドだと思う。金があっても時間が無ければ楽しむ暇がないし余命が少なければ幸福にはなれない。逆に時間だけたっぷりあっても金が無ければ幸せではない。両方あってもプライドが持てなければ絶対に幸せにはなれない。振り込め詐欺犯人のように金と時間がたっぷりあってもいつもびくびくおどおどしている以上幸せではない。真のプライドは自分が世の為人の為に役立っていると確信出来る事である。
そこそこの金と時間とプライドのある生活が最高であり、幸せな末路を辿れると思う。このそこそこと言うのが大切で余分にありすぎると却って不幸になる。

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