トヨタがプリウスを回収することを漸く決め、国交省や米国NHTSAに届け出ると言う。だから言わない事ではない。法的リコールに追い込まれるのは誰の目にも明らかなのに、猶欠陥ではないと自主的改修やサービスキャンペーンで対応しようとして時間が掛かった。この一瞬の遅れが企業への信頼を損なう事を丸で解っていない。僅か数日先も読めない経営陣の判断能力こそ欠陥であり、早急に改修する必要がある。
この判断の遅れが積み重なった根本に創業者一族社長の優柔不断と世間知らずがあると思う。日本一の優良企業の役員に、この程度の判断力に欠ける人材ばかりが就任している筈が無い。やはり社長に遠慮して口に苦い事を言えない雰囲気が有るのだろうと思う。御曹司社長は決断力が無いからコンセンサスに頼るものである。リコール委員会でリコールすべきだと敢えて言う役員が少ないから社長もリコールを決断しなかったのだろう。世間知らずには世間の厳しい声が聞こえない。茶坊主が隠すからである。
プリウスの対象台数はまだ30万台だから傷は浅い。然し合計1000万台を越える改修と回収に要する経費は膨大だろう。如何に内部留保がたっぷり有るとはいえ、トヨタの屋台骨が揺らぐかも知れない。経費より売り上げ減による損失の方が遥かに大きい。
だからリコールを躊躇わずに早く決めた方が結果的に損失が少なくなる。
私はホンダ出身だからライバルトヨタの凋落を望むと思われるのは心外である。日本がやっと世界一の自動車王国になったのはトヨタのおかげである。ホンダの発展もトヨタ、日産に追いつけ追い越せと切磋琢磨してきた結果である。トヨタはこの際同族経営を止めて風通しを良くして立ち直って欲しいと切に願っている。

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