発足したばかりの菅内閣に早くも暗雲が立ち込めている。一つは菅首相側近の荒井国家戦略大臣の事務所経費の問題である。荒井氏の政治活動後援会が荒井氏の知人宅を事務所として届け出ていたが7年間で4200万円の事務所経費が収支報告書に記載されている。家賃は払っていないのにこの事務所経費が適切かどうかの疑惑である。1年平均600万円程度の経費は家賃がなくても、人件費や備品でかかるだろう。野党は鬼の首でも獲った様に領収書を揃えて説明責任を果たせと騒いでいる。出来なければ本人は辞任すべし、菅氏の任命責任も問われるべしと居丈高である。
自公政権でも赤城農水相や加藤紘一元幹事長の事務所経費の問題が追及された。厳しくやれば全議員が引っ掛かるだろう。又政治と金の問題で国民を政治不信に追い込む積りかと腹立たしい。マスコミは何故新政権が発足して64%の支持率を回復したこの時期に下らないスキャンダル報道に力を入れるのかが理解出来ない。どうせ野党サイドの垂れ込みか、トップ屋の売り込みにマスコミが乗ったものと思う。荒井氏は調査の結果問題は無いと言明し、民主党の調査でも問題は無かったと言う。更に第三者機関に調査を依頼するとも言うのだから、それで十分である。寧ろガセネタに飛びついたマスコミの責任を問うべきである。
もう一つは国会会期の延長問題で国民新党との摩擦が激化する惧れがある事である。菅首相と亀井党首は連立協議で郵政改革法案を今国会で成立させるべく最善を尽くす事で合意した。然しこの重要法案を衆院で僅か6時間の審議で強行採決をした事に野党は一斉に反撥しているから参院通過には会期を最低でも2週間は延長する必要がある。民主党参院は折角支持率がV字型回復をした機を逃さず選挙を行う為に、会期延長に反対している。野党は国会を延長するなら予算委員会を開く様に要求するのは当然である。そうなると二週間では郵政改革法案の可決は難しい。無理をすると与野党の対立は修復不能になる惧れがある。仙石長官と樽床国対委員長の正念場である。
本来は新首相の施政方針演説と党首討論で政策論争をして後、参院選挙を実施するのが筋である。郵政改革法案は今回は廃案にして次の国会でじっくり成立を目指すべきである。私は郵政改革法案は悪法であって否決すべきだと思う。若し通せば民主党政治の最大の失政になる。悪いのは勿論亀井大臣である。小泉元首相が国民の圧倒的支持を得て成し遂げた郵政民営化を、小泉憎しの私怨と大樹会の支持票欲しさに元の木阿弥にしようとしている。選挙のために国会会期延長に反対する民主党参院議員は立候補するなと咆えたが、自分が一番選挙を気にしているからこそ法案の成立を急いでいるのである。
郵便事業は電子メールと宅急便の隆盛に太刀打ち出来ず、将来第二の国鉄になるのは避けられない。郵便の赤字をカバーする為に郵貯と簡保で支える形にしたいだけである。
折角非公務員で非正規雇用にして人件費を減らしたのに、10万人を正規雇用にして人件費が急増する事になるから益々赤字体質になる。特定郵便局長の政治団体大樹会と日本郵政グループ社員は当然国民新党を応援するから25万票を獲得出来る。医師会と大樹会が自民党の最大の圧力団体だったが、大樹会が蘇る事に国民は怒りをぶっつけるべきである。無党派層が怒れば大樹会の25万票など物の数ではない。
国民新党幹部は会期を延長して郵政改革法案を成立させなければ連立離脱も辞さずと脅している。亀井氏は菅さんと約束したと例によってごり押しをしている。約束したと言っても法案を通すと言った訳ではない。努力しても通らない事はある。鳩山さんは小沢氏を後ろ盾にしてやりたい放題をする亀井氏には逆らえなかった。小沢氏が失脚した今は菅さんは亀井氏に毅然と対処してゴリ押しを認めるべきではない。連立解消も辞さずで臨むべきである。支持率0%台の国民新党を切っても国民の支持はかえって増すだろう。国民はミニ政党に振り回される民主党にうんざりしている。参院が一時的に捩れ国会になっても良い。ポスト欲しさに擦り寄ってくるミニ政党は幾らでもある。早くも舛添新党が秋波を送っているし、みんなの党も民主党に近い。何より民主党単独で過半数を獲る事に邁進すれば良い。

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