次期民主党代表に小沢氏が就任する事を望むと書いたことに対して、反撥を覚える読者がいらっしゃるのは重々承知している。オーストラリアと日本を行き来している昔の仕事仲間からも、本当に小沢で大丈夫かと言うコメントを頂いた。この先輩は何時も鋭いコメントを呉れるが、コメント欄に公開されないのが残念である。
私も小沢氏が自民党の金権体質を引き摺り、政局の節目節目で暗躍して集合離散を繰り返す壊し屋である事は知っている。側近政治でえこひいきを繰り返し、苦言を呈すると容赦なく切り捨ててきた。性格的にどこか欠陥人間である。常に裏舞台で行動するので密室政治であって情報公開時代にそぐわない。今まで新党を結成し子分を集めるのに数百億円は使ったと思うので多分胡散臭い企業献金を集めたと思う。詰まり政治と金の問題では検察の起訴、不起訴に関係なく真っ黒だろう。国民が疑うのも無理も無い。
小沢氏が自民党に残っていれば総理総裁になれたのは確かであるが、目の前の総理の椅子を蹴って自民党を飛び出したのだから、彼は只の権力亡者ではない。自民党を飛び出して後早速自民党政権に終止符を打った。細川政権でも羽田政権でも総理になれたのに敢て裏方に回った。
政治家は誰もが総理総裁を目指すもので、常に金と地位と権力に飢えている人種である。総理に恋々としないのは石橋湛山、伊藤正義の他には小沢一郎しか居ない。
小沢氏の行動原理を分析すると、甘いかも知れないが真に国民の為の政治を実現する事にあると思わざるを得ない。田中角栄、金丸 信、竹下 登の下で自民党政治では日本はだめになることを誰よりも悟ったからこそ、自民党を飛び出し政権交代に命を賭けたのだと思う。詰まり手段は多少汚くても目的は純粋だった。自民党政権時代の半世紀は、政官業癒着の構造が染み込み、実質は全て官僚政治だった。派閥の権力闘争で金と力と数の論理が全てだった。野党は国対政治で懐柔されて与党と共に堕落した。政策調査会は族議員が蔓延り、総務会は政府の手足を縛った。この構図を根本から変えない限り、日本の未来は無い。小沢氏が政治の理想を追求したお蔭で民主党に政権が移り、国民生活が第一、官僚政治からの脱却と言う理念を掲げたのだから、日本を大きく変えるチャンスである。
折角のチャンスが鳩山氏の普天間問題と小沢幹事長の政治と金の問題であえなく潰れた。後を継いだ菅氏も消費税増税に言及して参院選で惨敗した。その後遺症で元気を失くし、又官僚政治に戻りつつある。予算の一律10%シーリング制など、昔の自民党政治のままである。国家戦略室を格下げしたのも官僚に取り込まれた証である。財政健全化路線はデフレ進行の今取るべき政策ではない。小沢氏は我慢が出来なくなって愈々自ら表舞台に乗り出す事を覚悟したものと思う。尤も小沢氏の出馬の動機には菅氏に人事で徹底的に小沢派が干された事に対するリベンジもあると思う。何れにしろ今は非常時である。まともな薬を処方しても効かない。毒薬を処方するべきである。毒薬は小沢氏しか居ない。

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